第6話

 試合が始まった。

 1回の表、無難に抑えることができた杉浦だが、やはり今までの相手とは違う。いくらかとらえられてる気がした。

 1点で勝てるか先行き不安だった。


 裏の攻撃。1番バッターなため、杉浦が最初に打席に立つ。

 マウンドに立つは天王寺。

 杉浦と違い、全試合登板はしていなかった。この地区予選ではこの試合で2試合め。


 強豪ゆえに、大した相手でなければ天王寺が投げなくても勝てるのだ。


 なら毎年初戦負けの杉浦達虹色学園にも、控えの投手を使ってほしいところだろう。だがさすがに決勝。そして甲子園行きを決める試合。天王寺はマウンドを譲ることはなかったのだ。


 他の投手ならまだ勝てる見込みあったかもしれないのに不運だ。チームメイトはみんなそう思った。


 だが杉浦は違う。


 天王寺対策のみしてきたゆえ、他の投手に出てきてもらっては困る。

 それに、弟は天王寺より自分がすごいと信じてる。なら直接試合して勝たないと意味がない。


 杉浦からしてはむしろ助かったのだ。


 天王寺はそんなこと、露知らずだが。


 注目の第1打席。


 天王寺は簡単に直球をストライクゾーンギリギリに決めてきた。

 外角低め、内角低めに。


 全てストライク判定。


 球速は……167キロ。


 これだけの速度で四隅に投げ込む事ができるコントロール……とても高校生のレベルじゃない。メジャー級だ。


 あっさり追い込まれた後……

 第3球目は高くすっぽ抜けたかのようなボールだった。いかに速いとはいえ、ボールだと思い、手をださないでおこうと思ったその瞬間!

 急激に球は落ちてくる。そしてストライクゾーンに……


「くっ!」


 バットを振るが、大きく空振るのみ。

 ボールはバウンドし、キャッチャーミットに……


 キャッチャーが軽く杉浦にタッチすると共に、三振のコールがされる。


 振ったときにはすでに、ストライクゾーンを外れるほどに、球は落ちていた。

 ボールからストライクに入り、ボールになる。とんでもない落下量……手も足もでない。


 だが杉浦は笑う。

 最初の打席で切り札のフォークボールを見れたからだ。


(とんでもないボールだが、奴はこれに一番の自信があるはず……タイミングがくれば必ず投げてくる……)


 ゆえに……杉浦は決めていた。


(このボールを狙う。フォークを打って、ホームランにしてやる……)


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