05 太陽
なんか疲れちまったのか、オレにもたれたまま輝が寝ちまった。スゲェ軽いから、好きにしてくれていいんだけど、これ思ったより動けねぇんだな。こんなに何も出来ないとは思わなかったぜ。
すやすや寝息をたててる輝が、オレの肩にもたれたままで気持ちよさそうな顔をした。
このままじゃ寝づらいと思って、オレは自分の体を抱えると輝をそっとベッドに寝かせた。スゲェんだぜ? お姫様抱っことか、余裕で出来る。超楽しい。
寝かせて布団をかぶせると横に座った。
気持ちよさそうな顔をして、輝はくっついてくる。
そばにいた零に、オレは尋ねた。
「なぁ、この腹凄くねぇか?」
「よかったですね、キモいですよ」
零はそう返事すると、部屋にあった姿見を指差した。
ありがたくその前で腹に力を入れてみたり、ムキムキっぽいポーズとってみたりしてみる。思ったより楽しいぜ、これ。輝も実は隠れてやってんじゃねぇのか?
オレがそんな事をやってんの見て、サムが笑った。
「太陽、楽しそうだね」
「凄くね? ムキムキだぜ」
「でもそろそろ服着ないと風邪ひくよ」
「そうか」
確かにちょっと寒くなってきた。
サムに渡されたティーシャツを着ると、一人でくすくす笑ってた空兄に尋ねた。
「何笑ってんだ?」
「輝のカッコでとんでもない事やって遊んでるから」
空兄はそう言うと、楽しそうに笑った。
「とりあえず夕飯用意するから、そこで大人しく遊んでろよ」
そう言って、部屋を出て行った空兄は、なんかスゲェ楽しそうだった。
何がそんなにおもしれぇのか、オレには全然分かんねぇや。だってせっかく男になれたんだぜ? しかもムキムキの理想の体だ。最高すぎるじゃねぇか。これくらいはやるだろ、普通。
サムと零は楽しそうにくっついたまま、オレと輝の事を見ては笑ってる。仲良さそうに寄り添ったまま、ときどきこっち見てはくすくす言ってんだぜ? まあ、輝がこんな事やらねぇのは知ってるから、見てて面白いんだろうけどさ。
せっかくの筋肉も見えなくなっちまったし、オレは諦めて床に座った。笑ってるサムに尋ねる。
「輝、なんで泣いてたんだ? そんなにターミネーター嫌だったのかな?」
「自分の体をおもちゃにされて恥ずかしかっただけだよ」
サムはそう答えると、オレの肩をポンポン叩いた。
「太陽はその体、気に入っちゃった?」
「おう、最高だぜ。立ちしょん出来るんだぞ」
サムの横で零がつらそうに笑った。
「太陽らしくていいですね」
「確かに、太陽って感じするよ」
二人は仲良く笑うと、オレに言った。
「ちょっとくらい、輝のゆたんぽしてあげなよ。いつもはしてもらってるんだから」
確かにそうだ。
大人しく頷くと、オレは輝のベッドに上がって横になった。すぴーすぴー言ってる輝にくっつくと、起こさないように背中をさすった。ちょっとだけ嬉しそうな顔をした輝は、ぴとっとくっついてくると、オレのシャツを握って幸せそうな顔をする。
たまにはこういうのも悪くねぇな。
オレはそんな事を考えながら輝にくっついて目をつぶった。ほんのりあったかい自分の体は、腕の中にすっぽり収まっちまう。あったかくて気持ちよくて、オレはそのまま眠った。
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