第13話 思わせぶり

 「はぁ」

 ため息をつきながら、私は1歩、2歩とグラウンド

を歩く。

 目の前には副部長。

 「おはようございますー……」

 挨拶もしにくくなる中で、副部長は言った。

 「どうしたんだ? 

  元気ないじゃないか。」

 キュン、

 なんで、そんな優しいの。

 なんで、そんな気遣えるの。

 なんでー……っ。

 「思わせぶりなことっ、

  しないでください〜っ」

 「はぁ?」

 「私にーっ、

  近づかなくていいですから!

  副部長は西園寺さんとイチャイチャしとけばい

  いんです!」

 恥ずかしくて、その場から駆け出した。

 「ちょ、栗島!」

 はぁ~っ、

 ここまで来ればいいよね……。

 「はぁ」

 ずっと副部長を、傷つけない言い方を考えてた結果が、これかよ〜っ……。

 ヤケクソになっちゃったぁ……。

 全部、全部……副部長の、せいだ。

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