第6話 未来は残されている

スマホが震える。

置き配完了の通知。


一瞬、喉が詰まり、咳払いをする。

息を吸って、吐く。


玄関に段ボール箱がある。

開けると、米と野菜。缶詰と調味料。

見ただけで分かる。実家のだ。


その下から、饅頭がひとつ出てくる。

口に入れる。

甘さが広がる。腹の奥が、ゆっくり静かになる。


まだ満腹には程遠い。

でも、追い立てられる感じはもうしない。


冷蔵庫は、まだ開いたままだ。

卵を見る。

さっきより、小さく見える。


いま決めなくてもいい。

そう思える。

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空腹のインテルメッツォ まさしの @Joe_

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