第6話 スライムダンジョン?

 今日からは一人でダンジョンアタックなので、セイの真似して身体強化だけで突破を狙ったが、30階層の途中で火遁の術を使ってしまった。


 31階層へ足を踏み入れると太陽がやけに眩しい、鍛錬を兼ねてフィールドを走り回ると角のある狼20匹の群れと出会った。


〖 二十炎にじゅうえん 〗 

 炎の弾20連射で小さめの魔石2個と角20本毛皮が20枚がドロップした。


 その後も、ウサギ、イノシシ、ヒョウなどの見た目に角が有る魔物を倒しながら進むと、アフリカゾウ並みの大きさの獅子の魔物に出会う、頭に生える3本の角が禍々しい。


〖 十炎じゅうえん 〗

 炎の弾10連射を魔獅子は前足で簡単に叩き消した。

 俺にはかなり長いがミスリルの剣を抜き身体強化をすると。魔獅子が俺に向かって来る。


 獅子の爪攻撃をかわして、すれ違いざまに剣で切りつけるが浅い傷をつけるにとどまった。

 俺の剣の腕じゃかすり傷が精いっぱいか、少し大きな術を発動しようと距離を取る。


 再度魔獅子と相対した瞬間、魔獅子が咆哮を上げた。

『 グォウオーーーーーー 』 大気が震える程の咆哮だ。


 身体が麻痺しててピクリとも動かせないし、やばい術の発動も出来ない。


 魔獅子の牙が俺に迫るが俺は何もすることができない。

『死んだ』


 白い影に俺は咥えられていた。

 魔獅子とは違う白い魔物が俺を咥えて走っている。 

 逃げようにも身体がまだ麻痺したままで何もできない。


 白い魔物がサバンナの真ん中に有った穴に入ると、そこは小道なっていて下っていく。

 白い魔物が俺を地面に降ろした場所は体育館程の広さがある地下空間だった。


 何が起こっているんだと考える間もなく、目の前に婆さんが現れた。

「不動様の加護を頂いた人間がどんな大物かと思ったが、小物も小物見た通りの弱者だったか」

 

 婆さんが右手を横に振ると俺の麻痺は治った。


「お婆さん助けて頂き有難うございました」

「誰が婆さんだ。 わらわはモイラー、女神だ」


 どう見ても女神さまのイメージと結びつかないよ、婆さんだろう。

「どこまでも無礼な奴だなお前は、助けなきゃ良かったよ」


「オズノ殿に頼まれて仕方なくお前を鍛えることになった」

「婆さんはオズノ様とお知り合いなのですか」


「婆さんではない女神モイラーだ。 分かったかカス・チビ」

「申し訳ございませんでしたモイラー様」


「妾の処では魔力操作のやり直しをしてもらおう。

その前に家族に手紙を書け、心配されて妾が恨まれても困るからのう」


 目の前に紙とペンが現れ、その紙に

(ダンジョンで女神様と鍛錬することになり、しばらく帰れません)と書くと白い魔物が紙を咥えて消えた。


 目の前に1本の細い針が現れた。


「自分の魔力で針を作り、妾が出した針の先端に刺せそれが出来たらここは卒業じゃ」

「はいやってみます」

「言い忘れたが1回失敗するごとに1回針がお前を刺すからな、身をもって針の鋭さを感じるがよい」


 俺は魔力を出して針の形にする、そしてモイラー様の針に真上から細い針先に刺した。

 出来た一発で出来た。 


「モイラー様一回で出来ました」

「やはり使えないカスだな、それの何処が出来ているんだよく見てみろ」


 目を見開いて観ても出来ているようにしか見えない。


「カスは千里眼か魔眼を持っていないのか鑑定眼でもよいが」

「全然持ってませんが」


「なぜこんなカスに不動明王様の加護を、ほれ貸してやるこれを使え千里眼だ」

「ありがとうございます。 でもどうやって使えばいいのでしょうか」


 モイラー様は千里眼の使い方を、目に魔力を流し知りたい事象を思うだけで見る事が出来る。

 例えば今なら針の先端を拡大してみたいと思うだけで見る事が出来る様だ。


〖千里眼:拡大〗 見えた針先は俺の魔力で作った針がモイラー様の針に反対に貫かれていた。


『イタッー』 神経に刺さるような痛みが走る。


「分かったかカス、先端の鋭利さも針の堅さも全然足りないのだお前の針は」

「ハイわかりました」


 千里眼で観る俺の針の先端はどんなに意識しても見えているモイラー様の針先より細くならなかった。

 数十・数百・数千回はやったろうか、たった1回の成功が出来ない。


 失敗の数だけ針で刺された俺の体は既に刺される痛みに慣れて痛みが薄く感じるようになってきた。


「よしカスシンジ気分転換だ飯にしよう、食ってから続けるか負け犬になるか再度考えろ」


 モイラー様が作ってくれたご飯は煮豆だ。

 懐かしいオズノ様の処で食べたあの味がする。

 美味しくないけど食べるのをやめられない、涙が出そうになった。


「ほう、そんな不味まずい豆を残さずに食うのか」

「魂が欲しがるんですこの味を、どこに行ったらこの豆が手に入るのですか」


「その豆は隣で修行しているモモという名の小鬼が持ってきた豆だ」

「モモが隣にいるんですか合わせてください」


わらわには隣だがシンジには平行世界と言った方が分かりやすいか」

「セイもいるのでしょうか、そしていつか時が経てば会えるのでしょうか」


「会えるかどうかはお前次第だな、課題を全てクリアしないと会う事は出来ない、モモは既に1日でこの針の課題をクリアしているぞ」


 急にやる気になった俺は夢中で針の課題に取り組んだ。

 そしてより小さく鋭くを一旦やめて頑張れば出来そうな堅さに力を注ぐようにした。

 堅くするにはどうすれば、圧縮から始めてみようかと考えて試してみる。

 以前の針より確実に堅くなったがモイラー様の針には全然及ばない。


 これならどうだと空間いっぱいに魂力を魔力と混合して地下空間一杯でに放出して針の形になるまで圧縮していく。

 かなりの堅さになったが針の大きさまでは圧縮できない大きすぎる。


 それじゃあ、一旦今まで通りの針を1回作りそれを空間一杯の混合魔力で圧縮して出来た針は千里眼で観てみると僅かにモイラー様が出した針より硬い。 


 再度空間一杯に放出した混合魔力を薄い小さな板状にした。

 出来た板で針の先を高速で手を動かして1日、ついに完成した。

 後はこの針でモイラー様の針を刺すだけだ。


「そこまでだシンジ、合格だが仮の合格だ」

「ありがとうございます。 でもなんで合格に仮が付くのでしょうか」


「相変わらずのバカだな、お前は後1回か2回魂力を使えば魂が消滅してしまうのだぞ、それがどういう事かは馬鹿でも分かるな」

「ハイ、助かりました。 有難うございます」


「お前が今やった魔力の圧縮は常に体内でやっておくものだ。これは時間の問題でやれば出来るから特別に仮合格とした。 文句あるかカスシンジ」

「有難うございます。 今後は魔力圧縮も日常の鍛錬に入れます」


「セイとモモはシンジとより随分先に修行が進んでるから、バカシンジは特別に肉体の強化と剣術を同時に鍛錬するがいい」


「ハイ有難うございます」  俺はセイとモモに会う事を考えていて、モイラーの話したことを理解しないまま返事をしていた。 次の鍛錬で地獄を見るとは知らないで。



**シンジがモイラーの元で修行を始めた日**


「旦那様、奥様大変で御座います。 玄関に魔物が来ています」

「そんな事があるわけ・・・何、白い魔物?タイガー? 聖獣の白虎様」


「もしかしてシンちゃんに何かあったの」

「紙を咥えてるな」


「白虎様間違いなく受け取りました。 有難うございました」

 お礼をいうと白虎は飛ぶように走り出し、直ぐに見えなくなった。


(ダンジョンで女神様と鍛錬することになり、しばらく帰れません。 シンジ)


「仙人の次は女神様だって、それに使いで来たのが聖獣だよ、どうなってるんだシンジは、けど朝錬しばらくさぼれるな」


「カインちゃん鍛錬しないと又シンちゃんに差を付けられるわよ」

「今度は女神様なんだよ、かなうわけないから」


「それでも鍛錬はしっかりやるの、フェルンも始めたんだから父親がいいところ見せないと駄目じゃないの」

「はい、がんばります。 女神様か綺麗なんだろうないいな~」

『パシーン』 「すいませんピリカ様」









 

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