第8話 大団円

 ただ、その発想を、実は別の意味で考えてみた」

 というのだが、

「これが、前述に感じたこと」

 ということで。

「月が出ている間。太陽は絶対に表に出ない」

 しかし、

「太陽が出ている時、かすかでも月を見ることができる」

 ということであった。

 つまりは、

「月と太陽は、同じように照らすという意味で、正反対の世界で輝いている」

 ということであるが、その力の差は歴然としている。

 つまり、何事においても、中心は太陽だということであった。

 それを考えると、この事件において、

「月と警察が似たようなものだ」

 と考えたとすれば、

「月が出ている間、太陽を見るのではなく。太陽が出ている間に月が見えるだけだ」

 ということで、

「組織が表に出ている間。警察がその上から光を出そうとした時、見えるものも見えない」

 ということになる。

 ということは、あくまでも、

「警察を立てる」

 ということにすれば、

「月は表に出ていたとしても、太陽に阻まれて、確認することはできない」

 それが、

「月の月としての役割」

 ということであり。

 それを、太陽である警察が出張ってくることで、見えなくなるという計画だったのではないだろうか。

 実際に組織は、

「片桐は用済み」

 と思ったのかも知れない。

 片桐が任務に就いたその瞬間から、

「片桐の後釜」

 というものを育成していて、

「いずれは、取って代わらせる」

 ということでの、

「影の世界の早変わり」

 というものを目指していたのかも知れない。

 それこそ、昔の、

「忍者のようなものだ」

 といえるのではないだろうか?

 だから、今回の事件に動機らしいものは存在しない。

 あくまでも、

「影の世界が影の仕事をした」

 ということだ。

 殺人の計画は確かにあった。

 しかし、犯罪は生き物だという考えから、そもそも、

「動機のない殺人」

 ということでやっていたのだ。

 せめていえるとすれば、

「試験的な犯罪」

 といってもいいだろう。

「影の人間の始末の仕方」

 というものを、組織としては画策していたのかも知れない。

 だから、他で殺害して、ここに運んできたのだ。

 そして、今回の事件で重要だったというのは、

「第一発見者の水谷」

 という男の存在であった。

 水谷という男は、別に悪いことをしているわけではなく、あくまでも、ただの第一発見者であった。

 ただ、彼はこの事件の脚本家といってもいいだろう。

 ある程度の青写真の中から、いかに、目的を達成するか?

 ということで、時間が、表に出すぎることを抑えるという意味と、

「臨機応変な事件推移」

 ということを考えて、あえて、

「第一発見者」

 ということにしたのだ。

 ただ、実の発見者である水谷には、そんな意識は毛頭なかった。

 ただ、今回の事件で、

「自分が何かの役を演じさせられている」

 ということだけは自覚があったようだ。

 今後の、

「脚本を書く上で、これが、最初の試験」

 ということからの、いわゆる、

「カメオ出演」

 といってもいいだろう。

 組織とすれば。

「いずれの目的として」

 ということで。

「警察の権威の失脚」

 というものを狙っているのだ。

 だから、今は警察や社会が、自分たち組織に対して、法律などを充実させてきたおかげで、表立っての行動ができなくなった。

 それを逆手にとって、こっちは、反撃に出るための作戦を、秘密裏に練ることができるというものだ。

 そのことをずっと考えていると、

「我々警察というものと、組織の間では、どちらかが、先に進むと、どちらかは、潜んでいて、それこそ、いたちごっこの光と影を演じている」

 ということになるのではないだろうか?

 樋口刑事はそのことを考えてはいたが。もちろん証拠などあるわけはない。

 相手は完全に隠れているのだから、裁くことはできない。

 しかし、

「いずれは、立場が逆転することがある」

 ということで、

「その時こそ、自分たち頭脳集団の出番」

 ということになるだろう。

「しかし、それまでに、それだけの時間を要するというのか?」

 気が遠くなるといってもいいくらいで、

「それこそ、光という猛スピードのものが、どれだけ掛かって、夜空の星を往復する」

 というのか。

 それこそ、

「今光っているものは、何万年も前に光った光」

 ということで、

「追いかけようと思うと、すでになくなっていた」

 ということで、

「警察と組という存在も似たようなものなのかも知れない」

 と考えるのだ。

 結局。

「ミステリーを考えよう」

 とすると、

「SF」

 であったり、他の発想がどこかでつながってくるということになるのであろう。


                 (  完  )

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いたちごっこの光と影 森本 晃次 @kakku

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