ホールケーキが毎週

 卒業が近くなってくると『特訓』と呼ばれる授業が組まれます。


 なにをするのか。というと。

 ホールケーキをイチから作る特訓です。



 これが週に一回ある。ということは、


 週に一回、ホールケーキを持って帰る、ということ。


 これが毎週ちがう種類のケーキならまだいいのですが、毎週同じときたもんだ。生クリームの黄桃サンド、飾りなし。ザ☆シンプル!


 私は実家からの通学だったので家族が食べてくれるからまだよかったんですが、かわいそうなのはひとり暮らしの子たち。



「もう冷凍庫もぱんぱんでムリ」



 ある日クラスメイトが半泣きでそう言うので「うわ、そうだよね!?」と友人のホールケーキを引き受けたことがありました。


 ものすごく感謝されました。


 ひとり暮らしで通学しているということは、当然友人関係も学校繋がりがほとんどということ。つまりケーキをあげるアテもなくて途方にくれていたってわけでしょう……。


 このケーキ、練習用で出来は未熟とはいえいちおう缶詰め桃がサンドされた、ちゃんと美味しいケーキです。飾りはクリーム絞りのみですが。


 というわけで私はこれを丸ごと、近所に住む友人にあげました。とはいえケーキだから。当然「いいの!?」と驚かれますし悪いよ、と恐縮されてしまいました。まあ……買えばそれなりに高いものですしね、ケーキって。


 実際あの『特訓ケーキ』は原価でいうとどのくらいだったのでしょう。でも原価が高いのは苺やチョコレートだったりするわけで。それを使用していなかったのだからそこまで驚きのお値段はしないはず。


 ともあれ、専門学校の友人は一台なんとかできて嬉しい。私は地元の友人に喜んでもらえて嬉しい。地元の友人はケーキもらえて嬉しい。


 ということでいいこといっぱいでした。

 やっぱりケーキは幸せを生み出すよね! と、そんな締めくくりです。あは。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る