第4話 区南山@連続行方不明事件②
「ここら辺は湿気が強くてですね...左側に降りていくと川が見えてくるんですけど...」
「凄いですね!!乃村さん!!区南山について詳しすぎるるるるるるぅっ!!」
「伊達に区南山に6年も山に居らんけん...そこの茂みからはアオダイショウとか出てくるんで気をつけて...アオイくん!!そこに蛇が!!気をつけろぉ!!」
「ぎゃあああああああああ!!ぎゃああああ!!」
《その時!!我々、捜索隊の目の前に地獄アオダイショウが現れ遂に牙を向いた!!》
蛇に噛まれたフタミと乃村が下らない会話をしている近くにも樹木にはコレで何十個目かの@の目印が彫られている
焦燥感からなのか乃村を抜かして赤星雲が先頭を歩いていると横から付いてきた車広がタックルするようにして肩を当てて前に出た
乃村は最初に揉めてからというもの赤星雲統に対して意図的に悪意ある態度をとる車広に自分よりも20歳は年上の人間に優しく注意をしていた
自分のよりも20歳は年下の人間に情けをかけられながら説教されている車広は間抜けに映るのだろうが彼の気持ちを考えると目も合わせられない
赤星雲の中でフタミに話しかけるにしても自分が主人公だとするとヒロイン?という役割にあたる彼女との会話に困ってしまうだろう
(やはり...NPCとは話しずらい...)などと考えていると珍しく何時も気だるげなキャラクターの炎藤の方から話しかけてきた
「ねぇ...今回の事件とか.....どう思う?」
「事件か...何も分からない...実を言うとこういうことのセオリーが何度やっても分からないんだよ...何を調べれば良いのか...何が答えに繋がるのか...」
「あー...今回の事件は...殺人事件というタイトルじゃない行方不明事件ってタイトルだから...必ずしも死人が出るとは限らないと思うんだよね」
横を歩く炎藤巡/エンドウ メグルの"今回の事件"という単語に驚いていると彼が炎藤の皮を被った別人であることが態度から分かる
赤星雲統/アカグモスベルは自分の同じ中身が人間のキャラクターに話しかけていく
「君はNPCじゃない...おかしいと思った...このゲームのキャラの動作は使い回しされていて殆どの登場人物が右利きだ...にも関わらず岩を退かす時に君は左手を突き出して軌道を逸らした」
「あー...その推理力がアレば安心だね」
「問題はオマエが敵か味方か...どちらかによる」
こんか山の中だというのにヘッドホンを首にかけている炎藤は赤星雲の疑いに真摯に答える
「今回の事件に限るなら味方かもね?アンタが真犯人じゃなければの話だけど...探偵役としてボクも捜索隊に合流してるからさ?」
「難易度かんたん...を選んでいるはずなのに前回も今回も証拠も捜査も不十分になってる...このままじゃまた未解決になってしまう」
「事件を解く鍵は2人の行方不明事件の被害者だ...乃村の妹は5人目の行方不明者...今回のアンナを合わせれば6人目...何か関係してる筈だ」
付近の桃色の紫陽花と川のせせらぎが赤星雲には難解すぎる今回の事件で与えられたストレスすらも水のように下へ下へと洗い流してくれる気がする
桃色の紫陽花の横には所々、青色の紫陽花が混ざっているような箇所もあり色のグラデーションから捜索隊の何人かは圧倒されている様だった
特にフタミは自分と同じ青色の紫陽花に親近感が湧いているようだった
近くの滝から岩を少しづつ削り丸くしていく水の様を見ていると事件の謎やトリックが解けるなんて都合のいい超能力じみた勘は働かなかった
炎藤?が近づいてきてフタミと共に近くの岩に座ると自称名探偵の彼女に小さく話しかけて何かを説明させようとしている
「アカグモさん!!この事件について炎藤さんとも真剣に話し合ったんですけど...行方不明者5人についての情報をアナタとも共有したいんです!!」
「なるほど...こういう風にフタミから重要な情報が来ることが多いのか...もっと話さなきゃな...」
「行方不明者のリストでしゅ!!読んでくださち」
噛み気味の二見鏡狐からメモ帳を受け取ると赤星雲は自身のスマートフォンを取り出して撮影して少しでも事件解決に必要な情報を得ようとする
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1人目 立花キミコ 2003年 当時19歳
元警察関係者の父親を持つ家庭の三女でしたが家庭環境による不満からか図書館や学校にて区南山の資料を読み漁った形跡があり此処に来て姿を消したと考えられています!!
彼女の破かれた服が山道にて発見されて当時は昼のワイドショーでも大きく取り上げられる程の事件になりましたが何処からかの圧力なのか急に報道が減って話題が沈静化してしまいました!!
2人目 品川ヨシオ 2010年 当時22歳
ネット情報だと大学受験の失敗から自然信仰派のカルト宗教にのめり込むようになり区南山を霊山だと家族に主張して家を出たかと思えば行方不明に彼のジャケットが山頂部付近の看板前で発見されました
3人目 古谷トモヲ 2013年 当時19歳
幼い頃から自然に興味があり区南山の生態系などを調べると家族に言い残してから姿を消して彼の靴下が入山口付近にて確認されたんです!!
4人目 江本マユ 2020年 当時22歳
突然、SNSに区南山の風景の画像や動画を上げてから忽然と姿を消して着ていた山道の脇道に彼女が脱いだと思われるブラウスだけが発見されました!!
彼女の動画はネット上で拡散されましたが彼女は孤児として生まれていて親族も親戚も居ない天涯孤独の人間であり職場も転々としていて警察も意欲的に捜査しなかったらしいのです!!
5人目 乃村ユウコ 2022年 当時20歳
林にて姿が確認されてから兄の普男さんの所にも戻らずに行方不明届けを出されました!!彼女のマフラーが山道の脇道で見つかっています!!
6人目...今!!2026年に行方不明者になるかも知れない車広杏奈は捜索隊の車広凱の娘で現在は20歳とのことです!!
個人的に怪しいのは車広さんです!!理由は顔が怖いからです!!あと漆日さんもイヤらしい目つきで見てくるので共犯者だと思います!!乃村さんも優しすぎるので意外と犯人の可能性あります(小並感)
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稚拙な推理が最後に付け足されている資料を読み終わるとアカグモは深刻な表情で呟く
「こんかいのはんにん...わからん...」
探偵役からの情けなさすぎる発言に炎藤は思わず口を押さえて肩で笑いフタミの方も呆れて大口を開けながら乾いた笑いを見せた
「ならアカグモさん!!SNSに上げられた江本キミコちゃんの写真を見ましょう!!面白いですよ?」
「行方不明事件を面白がるな、不謹慎なヤツ」
フタミによって見せられた江本キミコの写真には幾つかの暗い茂みと足跡のついた地面だけが写っているだけで事件性があるようには見えない
続けて再生された動画も大雨の中でピチャピチャと濡れてグチャグチャになった泥を踏みながら周囲の木々を写して走っているだけの40秒の動画が流れる
カメラを持つ手が激しく揺れているのかブレた動画は不自然な画角となり楕円形の葉っぱを写して終了している
「なーんか意味深じゃないですか?」
「確かに不気味だな...ホラー映画のワンシーンみたいにも見える...これは世間でも話題になったろ?」
「そうなんですよ!!話題になってから区南山だって特定する人が現れて実際に服も此処で発見されたんです!!まぁ...5ヶ月も経てば皆が興味を無くしてネット民も彼女を探すのを止めましたけどね...」
「ヤッホーーーーー!!」と漆日楼が一際に大きい岩に登って大声で叫んでいると思い切り後ろから車広に叩かれて怒鳴られる
「何をしてるんだァ!!このバカモンが!!」
「はぁ!?声出したらアンタの娘さんも俺達に気づけるだろうが...フタミもやってるだろ!!」
「ヤッホーは無いだろ三流小説家が!!」
2人の大声を聞いて赤星雲と炎藤は彼らの方に注目していく川岸の小石を靴で退けながら漆日は車広に詰め寄る
「なんだよ男と女で怒られる量が違いすぎるだろ...これこそ社会問題だねぇ!!とはっ...怖いねぇ......そんなに怒ったら血糖値ヤバいんじゃな〜〜い?」
「性別とか歳とかの問題じゃねェよ!!オマエの脳ミソが腐りかけてるのが問題なんだよ丸眼鏡!!」
「ていうかさぁ...これ可能性の話なんだけどアンタが娘さんを山に捨てた可能性は無いのかねぇ?アンタは可愛くない言うことも聞かない娘が居たら直ぐにでも山に捨てそうな顔をしてるよぉ〜ん?」
キレた車広が再び殴ろうとすると漆日は彼の腕を掴んで拳を振り上げる2人が血みどろの喧嘩をする前に乃村が間に入って叫ぶ
「やめろ...ここで啀み合ってもなんにもならない...この休憩が終わったら直ぐにでも捜索を再開する...
全国様々な危険な山を巡った...山では互いが信用していないと生き残れない...行方不明者を探すよりも喧嘩を優先すると言うならば捜索隊から抜けて山を降りた方がいい」
捜索隊の隊長である乃村は一瞬にして2人の争いを止めて場の空気を制すると茂みの近くで育っているピンク色の紫陽花を眺めていた
「...アンタの娘の服が見つかる事を祈っとくよね」
漆日は最後まで嫌な言葉を残して車広から離れたかと思えば小石を拾って川の方に勢いよく投げた
前方に小さな山小屋が見えてくるとフタミは目を輝かせながら口をハムハムと動かし鼻息を荒くしながら車広を突き飛ばして退かして先を行き
山小屋の前まで来て苔の生えた階段や古くなってはいるが頑丈そうな木柱なんかを見ては思いを馳せる
「これって絶対に殺人事件が起こる場所じゃないですか〜!!うわぁ〜!!凄いです!!これ」
腰を痛めたのか中腰になる車広を漆日は後ろから蹴りつけて転ばせるとスマホを取りだして木の板と釘で補修したような跡がある小さな窓を撮影する
「なんだか物騒な小屋だねぇ?乃村さん」
「ここは登山客なんかが道に迷った時なんかに重宝する山小屋で誰の家ってワケじゃないんだが...昨今の獣害被害や区南山の行方不明事件も鑑みた上で...とある団体の融資で長い時間かけて作られたよ...」
車広は起き上がると乃村に向かって怒鳴る
「なんでもいい!!アンナを見つけるために必要な器具も揃ってるんだよな?俺ァ此処で準備をして夜になる前に見つけてやるぞォ!!」
赤星雲統は上手くいかない現状に溜息をつき考える
(今回の事件...なんか長いな...いい加減に山も見飽きたしオフィスのある東京都 墨田区に帰りたくなってきた...だが...事件を解決しないとスッキリしないし...)
そんな赤星雲が目線を奥の茂みの方に移すと不気味な黒いローブを着て額にクローバーが描かれた仮面を付けた集団が勢いよく飛び出してきた
悲鳴を上げて驚いた漆日は慌てて小屋に駆け込んでいき炎藤は赤星雲の方に状況把握のため走って来た
「おい初心者くん...この集団はボクも知らない...いい加減に演技なんて止めて探偵同士が本格的に協力しないと...事件が未解決になるぞ!!」
「別に演技なんかしてないが...そうだな...ゲームのキャラクターじゃなくて中身のアンタと話したい」
「そんなこと言ってる場合か!!分からないのか?このゲームの中で死んだら何が起こるのかを!!」
《その時、探検隊は仮面をつけた怪奇な集団を見たのである!!彼らも地獄アオダイショウの手先なのか!?》
ゲームの中で人間同士が話していると謎の仮面集団は赤星雲と炎藤を取り囲んで両手を交差させては膝を着く謎の動きをしている
炎藤は隙を見て集団の中の1人を蹴り飛ばしボロ小屋の中に逃げ込んで勢いよくドアを閉める
漆日楼/ウルジビロウはパニックになりながら部屋を歩き回り今日一番のブチ切れを見せながら炎藤に話しかける
「ねぇ、あのゴキブリ集団は何者?行方不明者が出てるのはアイツらが原因ってことだよねぇ?ちっ...あぁウゼェ!!このクソ小屋に追い込まれた!!
死ねよこのクソ小屋作った奴等は全員よぉ...クソッ!!」
NPCとは思えないくらいの癇癪を起こして漆日が叫び散らかして机を蹴り飛ばすと二見と車広は彼の行動にドン引きしていた
炎藤は外から聞こえる大勢の集団の声を聞き内側からドアの施錠ができないかと扉を見る
鍵なんてものは無く小屋のリビングには食料品や登山ロープやペグなんかはあっても大人数と戦えるような武器になりそうな物は無い
ゲームの攻略にも生と死の観点からも途方にくれる炎藤に扉越しに乃村普男の声が聞こえる
「みんな聞こえるか?外は奴等のせいで危険だから小屋の中に隠れててくれ!!」
「乃村さん!!これは一体!!この山で何が起こっているんですか!!教えてください!!」
「分からんわ...まっ...山を汚す奴等が悪いだろ?」
乃村が外から小屋の鍵を施錠すると赤星雲以外の捜索隊の面々を小屋に閉じ込めることに成功した喜びから鍵を宙に投げてはキャッチしている
改めて見ると無味無臭すぎて逆に胡散臭くも感じる彼の態度を見て赤星雲は後退りして周囲の謎の集団についての警戒を高めファイティングポーズを取る
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