一条ネモリンはこうして死んだ

2030年代、日本は共和国となっていた。
移民の大量帰化によって国の構造は激変し、政治は異次元世界に突入していた。

高校生の一条ネモリンは、生活保護を受ける母親が購入した新車のポルシェを乗り回す不埒な少年で、自分が通う九段学園の校長殺害の容疑で拘置所に入れられたが証拠不十分で釈放されたばかりだった。
無実を証明してくれるはずの同級生に裏切られ、彼の人生はすでに壊れていた。

その夜、東京は突然、戦場に変わる。
無人戦闘機とロボット兵器が街を蹂躙し、国家の秩序は崩壊した。
米軍ロボットの襲撃をのがれるために逃げ込んだビルの中でネモリンは「レジスレイター」と名乗るＡＩアプリと遭遇する。それは国家存続の確率だけを基準に、冷徹な“最善策”を選ぶ立法府代行機能であった。

人間がマシンに政治を任せた…続きを読む