第1話 水族館で決めましょう!~判定~

 わたしは困惑した。残り時間20分くらいで小早川白兎こばやかわはくとは眠りに落ちた。優弦ゆづるの隣で。え?これ持ち時間の一時間待たないとダメなの?確かに小早川白兎こばやかわはくとと二人で取り決めたルールに『デート中の妨害行為を禁止とする』って条文があるけどさ?あるけどさ?あるけどだよ?いやいやいや。堪えろわたし!これで反則負けになったら目も当てられない。早く20分経ってよ!

 

 「おきろー。おーい。おーきーろー」

 20分後、小早川白兎こばやかわはくとの持ち時間が終わってすぐ、小早川白兎こばやかわはくとをの頬をぺちぺちたたく。花の女子高生が公共の場所でそんなすやすや眠ることある?

 「ああ」大きなあくびをひとつ。「おはよう」周りを見渡して「時間か」とつぶやいて小さくあくびをする。起こしてくれてありがとうは?くらいは言おうと思ったけど、小早川白兎こばやかわはくとらしくない気の抜けきった顔に驚く。こいつ、ちゃんと人間なんだ。じゃなくて!

「判定しよ!判定!どっちが勝ち!?ま、結果は見えてるけどね!」 

 小早川白兎こばやかわはくとに驚いた顔で見つめられる。こいつの驚いた顔初めて見たかも。氷の女だと思っていたけど実は表情豊かなのか?

「この期に及んで勝てるつもりでいるのか?」

「え?当たり前じゃん」

 答えると小早川白兎こばやかわはくとは大きくため息をついて「呆れた」とつぶやく。わたしの方が聞きたい。なんでもう勝ったつもりでいるんだよ?


 優弦ゆづるの出した判定は、小早川白兎こばやかわはくとの勝ちだった。優弦ゆづるはわたしの味方じゃないの!?


「納得できない!無効!無効!!」

「無効でも構わないよ。無効でも私が彼女なことに変わりないからね。そもそも『勝敗に異を唱えるべからず』。二人で決めた条文を忘れたのかい?」

 帰り道、正論パンチで殴られる。人間ってどうしてこうも正論が好きなんだろう。反論できないんだけどさ。あ-やだやだ。

「むー。じゃぁ次の勝負!次の勝負の日程決めて!もう5月も終わるし6月で!」

「そうだな」小早川白兎こばやかわはくとはつぶやき腕を組んでナナメ上に視線を向ける。視線の先を見ても夜空と星しかない。

「6月1日はどうだろう?」

「6月1日ね。オッケー!って平日じゃん。放課後に2時間かー」

 スマホに予定を入力する。


「じゃあ、また。西暦2200年の6月1日に」

「却下ーっ!!!!!」

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2026年1月2日 12:00

デート勝負で決めましょう! 31to73 @31to73

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