第10話 深夜のバンコク

バンコクの夜は、ネオンが眩しく輝いていた。

 喧騒の中、屋台の香ばしい匂いが漂い、観光客の笑い声が響く。

 だが、俺の心は張り裂けそうだった。


なぜ、こんなことに……?


「さあ、行くぞ、佐藤。」

 村上さんが俺の肩を叩く。


「お前、今まで頑張ってきたよな。でも、もういいだろ?」

 「俺たちは、お前に新しい世界を教えてやる。」


「新しい世界……?」


俺の問いに、村上さんはニヤリと笑った。


「実はな、俺はもう卒業してたんだよ。」


「……知ってる。」


「だからな、佐藤。お前も、そろそろ決断する時だ。」


俺は無意識に後ずさる。

 だが、村上さんが両側から俺の肩をがっちりと押さえた。


「逃げられねえよ。」


「観念しろ、佐藤。」


そして、俺は強引に卒業させられることになった。

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