第7話 素人童貞人狼 2日目 夜

高橋を沈めた後、俺たちはコテージに戻った。


もう、たった三人しか残っていない。

 佐藤(俺)、中村、山本。


外は静まり返っていた。海の波音だけが遠くから聞こえる。

 さっきまでの熱気が嘘みたいに、冷えた夜の空気が肌に刺さる。

 誰もが口を開こうとしない。いや、開けないのかもしれない。


誰かが唾を飲む音が聞こえた。


「……これで、終わったのか?」


山本がぼそっと呟いた。

 俺も中村も、その問いにすぐには答えられなかった。


「もし高橋が黒なら、もう消えるやつはいないはずだ。」

 「でも、もし違ったら?」

 「また、誰かが消える。」


答えなんて出るわけがない。

 でも、もし明日また誰かがいなくなったら――残るのはたった二人だ。


「もう、俺たちはこのままここにいるしかない。」

 「……そうだな。」


それだけを確認し合い、俺たちは部屋へ戻った。

 もう外には出ない。

 いや、出られない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る