第5話 素人童貞人狼 2日目 朝

翌朝、俺たちはリビングに集まった。すると、壁に奇妙な文字が貼られていた。


「佐藤は素人童貞ではない。」


「……は?」


俺は意味がわからず、目をこすった。いやいや、待て。童貞は童貞だ。なのになんで「素人童貞ではない」なんて書かれてるんだ?


「どういうことだ?」


「誰か、これ書いたやついるか?」


誰も答えない。


その沈黙を破るように、山本が言った。


「……で、鈴木はどこだ?」


俺たちは辺りを見回すが、鈴木の姿はない。


「……また消えたのか。」


村上に続いて加藤、そして今度は鈴木。どんどん仲間が消えていく。


「……もう四人しかいねえな。」


残ったのは、俺(佐藤)、中村、山本、高橋。


「俺……言わなきゃいけないことがある。」


沈黙の中、中村が口を開いた。


「……俺、占い師かもしれない。」


「は?」


「……いや、俺もよくわかんねえけど、昨日、部屋に紙があってさ。そこに“気になる名前を書け”って書いてあった。だから、佐藤って書いたんだよ。」


「……で?」


「そしたら、今朝になって“佐藤は素人童貞ではない”って貼られてた。」


その瞬間、全員が俺を見た。


「お前……実は行ったのか?」


「いや、行ってねえよ!!」


「じゃあ、どうしてこんな表示が?」


「知らねえよ!!」


「つまり、中村は“誰が童貞か”を占えるってことか?」


「……たぶん。」


「じゃあ、佐藤は……“白”ってことか。」


「それは確実だ。」


俺はようやく疑いを晴らされたが、なんか腑に落ちない。確かに俺は行っていないのに、なぜか「素人童貞ではない」と表示されたのだ。でも、それよりも大事なのは――


「つまり、鈴木は昨日、誰かに処されたってことか?」


「そうなるな。」


俺たちは再び、議論を始めた。

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