第38話 【個人手記】調査員ミレットの記録12

 久しぶりに土砂崩れの惨劇の記録を読んだ。この名もなき歴史家の文章は真に迫っていた。ギルドでの事務的な書類とは大違い。毎年、惨劇の跡地には亡くなった人たちへの追悼のために行っている。今度は、この歴史家への感謝も込めて訪れよう。



 記述の仕方もすごかったけど、ギルド長の名前ってギルベルトだったんだ。最近は、「ギルド長」って呼んでたから忘れてた。まあ、個人名は覚える必要はないか。私にとっては、いつまでも長なのだから。でも、何かが引っかかる。ギルベルトという名前、どこか他でも見た記憶があるような……。どこだっけ? 過去の日記を見直せば分かるかも! 明日以降は、別の視点から村を調べよう。ルキアさんに、私もやればできるって証明してみせるんだから。



※追記:なんだか、最近寝つきが悪い。お腹が痛かったり、頭の頭痛が酷かったり。ああ、具合が悪すぎて二重表現してる。これじゃあ、報告書をまともに書けそうにないや。明日は、お休みをもらおうかな。でも、朝になれば治ってるかも。



【研究員のメモ】

名もなき歴史家の記述は淡々としており、学術的観点から評価に値する。「名もなき」という謙遜も高評価だ。権威を振りかざす無能な学者とは大違いだ。なぜ、日本では無能が評価されるのか。不思議でならない。



【研究員のメモ:追記】

私も体調がすぐれないが、このメモを書けるうちは大丈夫であろう。いや、ミレットなる少女の記録を解読しなければならない。これは学者としての使命だ。

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