第37話 【公文書】「拠点村」の土砂崩れの惨劇
【土砂崩れの悲劇】
王歴116年に起きた「拠点村」での土砂崩れは、村に大きな影響を与えた。この土砂崩れは、単純な災害ではなかった。つまり、土砂崩れによって、ポール武器店、ダリア薬草店が壊滅状態になったのである。のちにドニ武器店などが作られるまで、「拠点村」は廃村も同然であった。この間、新米冒険者が訪れることはなく、経済的にも打撃が大きかった。
冒険者がいないことは、「安らぎの村」にとっても痛手であった。この2つの村は一心同体。「安らぎの洞窟」は、管理が難しく、噂によればスライムの一部が村に侵入したという。しかし、これは噂であり、真実ではない。現に、村人たちは元気であり、スライムに襲われた形跡はない。
この土砂崩れは、もう少しでギルドも飲み込むところであった。しかし、ギルド長であるギルベルトの尽力により、事なきをえた。彼がいなければ、廃村になっていたであろう。この事件を通して、長の名声はさらに高まった。村人からの信頼は絶対的なものになり、誰も逆らわなくなった。もちろん、ギルベルトの政策が素晴らしかったのも付記しておく。
惨劇後、村は徐々に復興が進み、完全に直ったあとは以前より新米冒険者が訪れるという奇跡を成し遂げた。これがあって、現在の「拠点村」と「安らぎの村」があるのだ。ギルド長の銅像が立つのも時間の問題であろう。しかし、その時が訪れるのは彼の死後に違いない。ギルベルトは謙虚であり、それを望んでいない。これこそが人望を集める1つの要因であろう。ギルベルトがいる限り、村は安全であり発展を続けるであろう。
文責:名もなき歴史家
【研究員のメモ】
実に興味深い文献だ。9年前の災害から復興するまでにスピード感が素晴らしい。現代の日本では、こうはいかない。残念ながら、それが現実である。そして、復興優先のため、学問への投資額は少ない。今回、何らかの成果を上げて、研究費を確保しなければなるまい。
【研究員のメモ:追記】
偶然にも、この旧安良木村も土砂崩れで廃村になった。「拠点村」とは異なり、復興することはなかった。しかし、そのおかげで研究が捗っている。皮肉なことだ。ここでの調査が終わったら、次は群馬県にあるという廃村を訪れよう。きっと新しい発見があるに違いない。私の名前が教科書に載る日は、すぐそこまで来ている。
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