冬の絶望
陽向side
病室の静寂が、逆に耳を刺す。
医者の言葉が、頭の中で何度も反響する。
「……新年を迎えるのは難しいかもしれません」
言葉を聞いた瞬間、胸が締め付けられ、視界が歪む。
雪花の瞳を見た瞬間、すべての時間が止まったように感じた。
「そんな……嘘だ……」
声にならない声が漏れる。
手を握り締めても、胸の奥の絶望は消えない。
好きだから、手放したくない。
でも、残された時間が、無情に彼女を蝕む。
雪花side
陽向の表情に、絶望が広がっている。
胸の奥の水仙のつぼみが、じんわりと痛む。
「陽向……」
小さく呼ぶ声に、涙がこぼれそうになる。
好きな人が絶望している。
その想いに押されるように、胸のつぼみが小さく膨らみ、痛みを伴って体を蝕む。
好きだから、手を伸ばしたい。
でも、近づくと養分を吸い取られるように、体が動けなくなる。
陽向side
「雪花……俺、どうしたら……」
言葉にならない焦燥が胸を締め付ける。
「まだ間に合う……何かできるはず……」
でも、花咲病の残酷な現実は容赦なく、雪花の体を蝕んでいる。
微かに見える水仙のつぼみが、目に痛いほど輝く。
この儚さと美しさが、胸を引き裂く。
雪花side
陽向に心を重ねる。
「……陽向……好き……」
体の奥で強く想うほど、胸のつぼみは成長し、痛みが増す。
好きな人を守りたい、でも守れない。
息を整えながらも、手を握りたい、声を聞きたい。
その想いが、体を蝕む痛みと同時に胸に広がる。
それでももう好きという気持ちをぬぐうなんて私には無理だった。
◇
窓の外の冬の光が、病室に淡く差し込む。
二人の心は、絶望と愛情で絡まり、揺れる。
陽向の絶望が雪花の胸を締め付け、雪花の想いが病を進行させる。
水仙は絶望の花ではなく、二人の恋花として咲き始めていた。
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