水仙のつぼみ
雪花side
病室の冬の光が淡く差し込む。
私の病気は進行してつぼみができていた。
きっともう長くはないのだろう。
胸に当たる水仙のつぼみが、痛みとともに私の心を締め付ける。
目の前に立つ陽向の顔は真剣で、少し怒っているようにも見えた。
「陽向……」
きっと今、声は震えている。
胸の奥が痛む。触れられると、全てが壊れてしまいそうで、距離を置かずにはいられない。
陽向side
「雪花! どうして……どうして俺に何も言わなかったんだ!」
声が大きくなり、胸の奥の焦りと苛立ちが溢れる。
「入院してるって……花咲病だって……なんで黙ってたんだ!」
手を握りたいのに、彼女はそっと背を向ける。
そっけない態度の裏に寂しさが現れていた。
「俺……ずっと心配してたのに!」
雪花side
「……ごめん……」
小さな声で謝る。
好きだから、触れられると痛い。
でも、触れられなければ胸の奥の孤独も募る。
「迷惑をかけたくなかったの……」
言葉にならない思いを抱えながら、毛布をぎゅっと握る。
怒られるのも、責められるのも怖いけれど、心の奥では彼に伝えたい気持ちが渦巻く。
陽向side
「迷惑だなんて……そんなの関係ない!」
怒りが涙と混ざり、声が震える。
「雪花のことを知らされなかった俺の不安と心配……全部、雪花のせいじゃない!」
でも、手を伸ばすと、雪花はそっと顔を背ける。
触れたい、抱きしめたい――でも、彼女の意思を尊重するしかない。
「……わかった、でも、今度は隠さないでくれ」
少し落ち着きを取り戻しながら、強く胸に刻む。
雪花side
目を閉じ、息を整える。
胸の奥の水仙のつぼみと痛みが、心の奥で揺れる。
「……うん、隠さない……でも、言ったら思いが強くなっちゃうよ、」
矛盾した思いを抱えつつも、陽向がいてくれるだけで痛みは和らいだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます