冬の知らせ
教室の窓の外には雪がちらついていた。
陽向は席に座りながらも、ノートの文字が頭に入らない。
頭の中で繰り返されるのは、あの日の雪花との喧嘩の光景だった。
「雪花……あんな言い方、しなくてもいいのに」
胸が痛む。
彼女が激しく突き放したあの日から、二週間以上が経っていた。
その間、陽向は声をかけられず、そっと距離を置いてきた。
でも、今日は雪花が学校にいなかった
最近なんだか苦しそうだったのも知っていたので心配ではある。
やっぱり嫌われてしまっているんだから会いに行かない方がいいだろうか、
胸のざわめきが冬の何か悪い知らせを連れてきているみたいだ
放課後、終業式のざわめきが静まりかけたころ、陽向は決心した。
――雪花に会わなきゃ。
雪花の家に向かう道のりは、雪が舞う寒い冬空の下で、心臓の鼓動だけが自分を支えているようだった。
手袋の指先が冷たい。だが、胸の奥のざわめきは、寒さを忘れさせるほど強く、彼を前へと押していた。
雪花の家のドアをノックする手が、微かに震える。
応答はない。
「雪花……いる?」
声をかけても、家の中は静まり返っていた。
すると、玄関が開き、雪花の母親が姿を見せた。
「陽向くん……来てくれたのね」
微笑みの奥には、微かに疲れと心配が滲んでいた。
「雪花さんは……学校に来ていませんでした。どうしたんですか?」
焦り混じりの声を出す。
母親は少し息を吐き、視線を落とす。
「雪花は、入院しているの。今日から少し、病院で検査を受けることになったのよ」
耳の奥で、言葉が反響した。
入院……? 雪花が?
「え……入院って……どうして……?」
声が震える。手もわずかに震えた。
母親は静かに頷き、詳細は語らなかった。
「ごめんなさいね、急で……でも、雪花は頑張っているから」
陽向は立ち尽くした。
雪花のいない家の空気は、まるで時間が止まったかのように冷たく重い。
胸の奥に焦りが渦巻く。
――雪花……
喧嘩で距離を置いた日々のことも、突き放された痛みも、今は胸の奥に押し込められる。
理由は分からない。今はただ、雪花に会いたい――無事かどうか、自分の目で確かめたい。
雪が舞う冬の空の下、陽向の決意は固まった。
教室での葛藤も、距離を置いた日々も、すべて胸の奥に押し込み、彼は雪花の元へ向かうのだった。
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