冬の裂け目

翌日、教室の窓の外には、雪が舞っていた。


その中でふと気づいてしまった。

もし私が死んだら陽向はどうなるのだろう、

いっそ先に嫌われた方が陽向のためかもしれない

好きでいればいるほど進行していくならここで嫌われてしまおう


私は手を握りしめ、息を整える。

陽向の顔をまっすぐ見つめ、決意を固める。


「陽向……もう、これ以上近づかないで」


その言葉に、陽向の眉がぴくりと動く。

「え……? なに言ってるんだよ」

驚きと困惑、少し怒りの混じった声。


「はっきり言うわ。今の私に、あなたは重すぎる。これ以上一緒にいると、壊れてしまいそうなの」

涙が頬を伝う。

「だから……離れて。もう、触れないで」


陽向は一歩近づき、手を差し伸べる。

「雪花、なんでそんなこと言うんだ! 俺はお前のこと、大事に思ってる!」


「関係ない! あなたの想いなんて、今の私には届かない!」

私は声を荒げ、思わず手を振り払う。

「もう、私を見ないで! 放っておいて!」


教室に緊張が漂い、周りの友達の視線が気になる。

でも、そんなことはどうでもよかった。

私に残された時間は、もう少ししかない。

陽向と一緒にいることが、私を蝕むなら、離れるしかない――それだけだった。


陽向は目を大きく見開き、言葉を失った。

「雪花……そんな……なんで……」

声が震え、手を伸ばそうとするけれど、私の強い視線に押し返される。


私はゆっくりと教室を出る。

背中に、陽向の戸惑いと痛みが残る。

でも、振り返らない。

振り返れば、きっと私の決意が揺らぐから。


――私は、この冬、最後まで陽向と同じ季節を生きるために、彼を突き放す。

それが、私に残された唯一の選択だった。

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