第33話 崩壊の始まり
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浅野遼はガラスで出来たテーブルを拳で割った。
「くそがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
そして、オフィスにあるありとあらゆるものを投げ倒す。
白石が何処かへ逃げたという話は聞いていたが、大騒ぎにならないというのはどういうことなのだ?
何が起こっている?
大体、そもそも論として、高々、大学生のガキ一人を殺すだけで何で、こんな目に合わないといけない?
浅野は髪をかきむしっていた。
すると、白石に続く、ナンバースリーのリュウ・スンゲが現れた。
「代表・・・・・・お客様です」
「勝手に入ってくんじゃねぇよ!」
浅野がそう言うと、リュウの後ろから「随分と荒れとるのぅ? 坊や? 手を貸そうか?」とだみ声が聞こえる。
近畿黒陽会、直系二次団体、浜組の浜大二郎だ。
近畿黒陽会きっての武闘派組織で、刑罰会と提携を結んでいるが、基本的にこいつらは腕っぷしだけの頭の悪い連中であり、その頭脳の部分を自分たち、刑罰会が担っていたのだが・・・・・・
事態が事態なだけにとうとう、こいつらがしゃしゃり出て来るか?
「何や? 藤宮んとこのガキ一人殺すのに手間取っているらしいやないか?」
「・・・・・・正直に言えば、あれだけの騒ぎを起こして、何故、あいつらが不問に処されているのかが分からない」
「あの会長のおっさん、裏で手を回しているらしいからなぁ? ウチらも手を貸したいんやけど、ヤクザは国会開会中に抗争を起こせないんや? すまんなぁ? 悪いが、後始末は頼むわぁ?」
「んだと? あんたらが東京に進出したいって言うから、あんたたちのルートから手に入れた、薬物をガキどもに提供するシノギを提供したんだろう? それにさっき、助けるようなことを言ったよな? それをーー」
「その態度や、坊や? 大人の世界には面子いう物があるんや? それを無視して、自分らの頭の良さをひけらかしたら、そら、オジサンも助ける気が起きんわぁ? そやなぁ、お前、藤宮のところに一緒に行こか、指詰めて?」
それを聞いた、浅野は血の気が引く感覚を覚えた。
「ふざけるなよぉ! 何で、俺がそんなことをーー」
すると、奥からいかついスーツ姿の男たちが現れる。
「お前ら! トップがやられそうなのに黙ってんのか!」
そう言うと、リュウは「半グレに忠誠心なんて、ねぇすよ。俺らは別の組織に移ります」と言って、そっぽを向いて、どこかへ行った。
「この兄ちゃんはウチの組が貰ったで? 中々、見所があるからのぅ?」
「てめぇらぁぁぁぁぁぁぁ!」
そう浅野が叫んだ時だった。
突然、スマートフォンに着信が入った。
「出たら、えぇ、重要なことかもしれんからな?」
着信元は埼玉の薬物工場の工場長に当たる、加藤だ。
とりあえず、電話に出る。
事態の打開になるかもしれないからだ。
「どうした?」
(代表! 助けてください! 工場が・・・・・・工場がぁ!)
後ろでは銃声や男たちの断末魔の声が響き渡る。
襲撃だ・・・・・・
でも、何故、工場の場所まで分かったんだ?
浅野は恐怖で膝が震えていた。
「さっ? 行こか?」
しかし、次の瞬間だった。
オフィスの下の階から大きな爆発音と地鳴りが響く。
「何や? どないした?」
「社長! 真木組の連中です! 真木組の連中が手榴弾を投げてきました!」
あのガキのお守が直接、ここに攻め込んできただと・・・・・・
殺される。
そう考えた、浅野は気が付けば失禁してしまった。
「情けないのぅ? まぁ、こいつらに対応はやらせておけや? 帰るで?」
「よろしいんですか? こいつは?」
「あいつらにやらせて、ワシらは高みの見物や? 調子に乗った小僧には良い死に方やろう?」
そう言って、浜と取り巻きの組員にリュウは何処かへと去って行った。
銃声が聞こえ始めて、それは近くなってくる。
浅野は自身の終焉が近くなる中で今度は脱糞をしてしまった。
そして、ただ、笑いこけるしかなかった。
時刻は午前三時四二分。
一つの半グレ組織が瓦解を始めた。
続く。
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