第32話 集結
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品川コンテナ埠頭でネビルと結鶴が車を降りると、後ろのホンダN-ⅤANから、真木と宮崎に大園が現れた。
「若ぁぁぁぁぁ! 会いたかったですわぁ!」
真木がそう抱き着こうとすると、結鶴は真木の腹を思いっきり殴った。
「うぐぅ! ナイスパンチぃ!」
「お前ら、あれほど、警察に出頭しろと言ったよな?」
俺がそう言うと、宮崎が「会長からのお達しで出頭は事態が収束次第にしろと言われた次第です」と言い出した。
「会長が? 何で?」
結鶴は一瞬だけ恐怖を覚えた。
会長直々に指揮を執る結果になったか?
俺が不甲斐ないばかりに・・・・・・
「これから、クラブへの強襲作戦をするからです。それまでは国家公安委員長の不倫スキャンダルを握っているから、若やその周辺の関与を公表すれば、全てばらすと脅して、時間稼ぎをするつもりです」
国家公安委員長の弱みを握っているか?
そういうからくりがあったか?
どうりで、渋谷でSPと格闘しても大きな騒ぎにならないワケだ。
「さらに若の提案通りに警察庁の水野を脅しているので、今は我々、黒陽会が全国警察単位で奴らの捜査を遅らせることが出来ています」
「まぁ・・・・・・準備はしておいて良いだろう? 全て、会長にはお見通しだったようだがな? だが、ここにMI6の協力というカードまで加わるわけだ? 黒陽会による、日本征服が出来るんじゃないかと言わんばかりの僥倖続きだな。官邸でも攻め入るか?」
苦し紛れの冗談で言ったが、真木は苦笑いする。
「若がそう言うと、マジでやりかねないから、怖いですわぁ?」
「黙れ、真木、お前は一人で罪を償え」
「それも組長の務めとあらば・・・・・・」
真木は泣き始める。
「社長!」
「悔しいのぅ。結局、自首しようとして、足が竦んで、ウチの組の店で寿司食っていたのが・・・・・・美味かったけど、情けないのぅ!」
真木は「うぉぉぉぉぉぉん!」と泣き続ける。
「お前、今すぐ、警察行け」
「若ぁぁぁぁぁ!」
そう泣き続ける、真木を無視して、宮崎に「会長に連絡できるか?」と聞いてみた。
親子と言えども、簡単には会話できずに下手に空気を読まずに会長の世界を犯せば、自分でも命は危ういと思われる。
しかし、今は状況を自分の口から説明しなければいけないという使命感に駆られていた。
早く、連絡がしたい。
しかし、そう思っていると、宮崎は苦笑いを浮かべる。
「何だ? 何がおかしい?」
「会長は今の会話を聞いています」
それを聞いた、結鶴は背中に悪寒が走るのを感じた。
「スマートフォンを出しますね?」
「あぁ・・・・・・」
すると、スマートフォンから「結鶴」と藤宮勇作の声が聞こえてきた。
「申し訳ございません。会長の手を煩わせる結果となってーー」
「派手に暴れたようだな?」
「指を詰めた方が良いでしょうか?」
そう言うと、会長がそれを鼻で笑うのが聞こえた。
「末端の組員ならば、そうするが、お前は学内に潜入した工作員だ。指を詰めるなどという前時代のヤクザが行うことをすれば、工作活動に支障が出る。処分は今回のシノギが済みしだい、本部で通達する。それとだな・・・・・・」
会長が暫しの沈黙を保つ。
それが余計に結鶴の恐怖を増長させる。
「お前が女の子と仲良くなるのは驚いたが、彼女はアメリカに留学させる。これは彼女の事務所とも合意したことだ」
鈴の事務所とまで通じていたのか?
結鶴は藤宮の底無しの人脈に改めて、恐怖を覚えた。
「彼女の意向も踏まえて、決定するが、あれだけの騒ぎになったんだ。ほとぼりが冷めるまでは海外にいさせた方が良い。彼女のスキルアップに繋がるからな?」
「分かりました」
「良い彼女を持ったな、結鶴?」
会長にそう言われた後に結鶴は「はい?」と思わずに聞き返した。
あの冷酷非道な藤宮が親子とはいえ、自分に優しさを見せた・・・・・・
あまりにも想定外の事態なので、混乱をしていた。
「今度からは本部を頼れ、お前は私の後継者なのだからな?」
そう藤宮が言った後に通話が切れる。
「だそうです。若、俺たちを頼ってください」
宮崎がそう言うと「ネビル中佐、武器は貰えるか?」とだけ聞いた。
「攻め入るのか?」
「薬物の製造ルートを抑えられなかったのが、痛いが強襲をするぐらいはしたいな?」
「若、会長が寄こした実行部隊が刑罰会の幹部クラスを襲撃、リンチして、製造場所を吐かせたそうです」
それを聞いた、結鶴は「場所は?」と即座に返した。
「埼玉のアパートです」
「燃やせ、寝タバコという形で住人を処分しろ」
「段々とヤクザらしくなってきた」
宮崎が笑いながら、そう言う。
そう言えば、鈴は車の中か?
熱くないか?
後でアイスコーヒーでも買ってやるか?
「あとは刑罰会の本丸を叩く、薬物のルートは俺たちが強奪する」
結鶴は高揚感を覚えていた。
続く。
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