第31話 合流

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 結鶴と鈴にネビルの三人はネビルの仲間の乗るワゴン車で新宿へと移動していた。


 車からは大音量のラップが響く。


 ネビルは助手席で周囲を警戒して、結鶴と鈴は奥で荷物とごちゃまぜになって、隠れる形で乗車している。


 要するに警察の検問を振り切りつつ、新宿歌舞伎町の真木商事へと向かうつもりだが、結鶴とネビルの算段ではここまで、警察の検問が遅れて、数時間たっても警察が追跡すらせずにベイカー家で夕食までご馳走になる結果になるという時点で警察は画像解析で結鶴の正体に至るまでには至っていないと思えた。


 だが、それにしても戻るのはリスクがある話だ。


 その為、ネビルに身元保証をしてもらう為にMI6の日本国内の協力者に頼み込んで、さもパンクな集団という形で府中から新宿までこのような珍道中を行う羽目になったのだが・・・・・・


「結鶴君、変なところに手をやらないで!」


 鈴がグーで結鶴を思いっきり殴る。


 結構なハードパンチャーだな?


 そもそも論として、鈴も事件に巻き込む可能性があるから、府中に残すつもりだったが、ネビルが「私が留守の間に鈴が捕まったら、どうしてくれる? 君が責任を取れ」と言って、こうなった次第だ。


「ベイカー・・・・・・」


「なっ・・・・・・何?」


 鈴が赤面しながら、黙り始める。


「口臭くないか? コーヒーの飲み過ぎのような気がする」


 二発目のグーパンチがすぐに顔面に飛んできた。


「・・・・・・最低」


「胃が荒れているとも思えるな? もうちょっと、節制したらどうだ?」


「三発目行く? 結構、私のグーパンは痛いんだよね?」


「・・・・・・俺は無神経なことを言ったのか?」


「凄くね?」


 そう二人で言い合っていると、ネビルが「Shut up! (黙れ!)」と怒鳴りだす。


「Do you understand? You guys are wanted, aren`t you? (分かっているのか? 君等はお尋ね者だぞ?)」


「Sorry, Dad(ごめん、父さん)」


 鈴がそう言うと、ネビルはそれっきり黙ってしまった。


「・・・・・・結鶴君のせいだ?」


「騒ぐな、感づかれる」


「You guys! (お前たち!)」


 そう言った時だった。


 結鶴のスマートフォンにシグナルの着信が入る。


 若干の悪寒が背筋に走る。


ー今、首都高降りたところにいまっせ?ー


 真木だ。


 真木が警察に捕まらずに堂々と下道で待っている。


 ヤクザは暴対法でETCを使うと、罰せられるから、下道で待機しているのだろう。


「結鶴君、このまま品川コンテナ埠頭へと向かうぞ?」


 ネビルがそう言う。


 品川コンテナ埠頭ならば目立たないが、なるほど、真木組の殺しのシノギの事もMI6は承知済みか?


 となると、事前にMI6が真木組とコンタクトを取って、俺を引き取りに来た可能性があるな?


 あるいは黒陽会上層部ともか?


「結鶴君、名前で呼ばれるようになったね?」


「今は事態を乗り切る事で頭が一杯なんだ」


 そう言うと、そのまま二つの車が重なるように車列を作る。


 朝焼けが東京の空を包み込む。


「今日は土曜日だから、良いけどさ? 結鶴君」


「何だ?」


「こんなにタイトな日程で大丈夫かな? 大学にちゃんと行けるかな?」


「さぁな、遊び過ぎは学生の特権だろう?」


 それを聞いた、ベイカーは笑い出す。


「事務所からの許可とか諸々の事情が許して、尚且つ、結鶴君が私自身の夢を邪魔しないなら、今度、一緒に遊ばない?」


 鈴がそう言いながら、微笑む。


「その為にもこの抗争には勝たないといけない」


「そればっかり・・・・・・」


 鈴は不機嫌になるばかりだった。


「You guys! (お前たち!)」


 おまけにネビルまで怒り出す。


 車内はどうにも騒がしい朝方となるに至った。


 時刻は午前四時五四分。


 最終決戦へのカウントダウンが近づいているように結鶴には思えた。


 続く。


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