第21話 敵
26
浅野遼はクラブのVIPルームでキャバクラ嬢の女たちと懇談していた。
しかし、そこにメンバーの白石が焦りを表しながら部屋に入って来た。
「入ってくんなって言ってんだろうよぉ!」
浅野はそう怒鳴り散らす。
「それどころじゃないんすよ・・・・・・黒陽会から小包が届きましてーー」
「黒陽会?」
内心では関西最大のヤクザ組織がうちに小包を送り届けてくる時点で、嫌な予感がしていたが、恐らく、近畿黒陽会との関係性もあるだろう。
だが、表立って、抗争をするはずはないと思えた。
今は国会開会中だ。
ヤクザには自分たちと違って、国家的なイベントがある時は抗争をしないという不文律がある。
そんな中で何かを送り付けるなど・・・・・・
「中身は?」
「・・・・・・開けさせたら、中から水野のお坊っちゃんの指が入っていました」
それを聞いた、浅野はテーブルを蹴り上げる。
「本人のかよ?」
「指紋認証したので間違いありません」
「黒陽会のオジサンどもはさぁ? 何なの?」
白石は恐怖で慄いていた。
「青川学院のルートは全滅か?」
「まだ、慶明や早明とかのルートもありますし・・・・・・まだ、ルート全滅とはーー」
「バカだなぁ? お前は? 青川は女の子が可愛いんだよ? そして、家柄も良いと来ている。最近の慶明はビジュアルが落ちてきてよぉ? ミスコンとかを中止にしたのが響いてんじゃねぇかと俺は思うが、とにかく、昔に比べて、クリーチャーの率が高くなっている。その点、青川はマジで良い。偏差値が慶明に比べて、落ちるのも良いなぁ? 俺のお気に入りを薬漬けにして楽しむのを邪魔するなんてよぉ・・・・・・どうする? 関西の連中にチクるか?」
浅野がそう言うと、白石は「・・・・・・良いすね」とだけ言った。
白石は先ほどまでの狼狽ぶりとは違い、喧嘩の匂いを感じると、いつも楽しそうな顔つきをする。
こういうファイティングスピリットを持った奴は良い。
「とりあえず、あれだな? 因果応報って奴だよ」
浅野は薬をテキーラで流し込む。
「会長の妾の子が青川にいるだろう? 拉致れ」
「そしたら、戦争すね」
白石はまるで、玩具を買い与えられた子どもの様な表情を浮かべていた。
「白石、お前に実行部隊を仕切らせる。しくじるなよ?」
そう浅野が白石に言うと、当人はこれ以上無い程の満面の笑みで、奥へと引き上げていく。
「ねぇ、物騒な話ぃ?」
ホステスの女がそう言うと、白い粉をアルミホイルの上に乗せて、ライターで炙り出す。
「今から、楽しいよ。会長殿の息子をどう甚振るかを考えるだけでよぉ?」
そう言った、浅野は大音量が響く、クラブのホールをVIPルームから見下ろす。
全員、存分に踊れ。
俺に思い通りにならない事なんか無いんだよ?
浅野は薬物の影響もあって、恍惚に浸りたい気分だった。
続く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます