第12話 名コンビ誕生!

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 秋山結鶴とベイカー・鈴は大学生協で油性ペンを買った。


「本当に欲しいの?」


 本当だ。


 自分は特撮が本当に好きなのだ。


 貧乏な児童養護施設時代の唯一の楽しみが、日曜朝のテレビから流れて来る、特撮作品の数々だ。


 その中でも自分と同年代でテレビに出ていた、メーシー様を演じていた、ベイカー・鈴が目の前にいる。


 しかも、生の「やっちゃえぇ♪」を頂いたのだ。


 特撮ファン冥利に尽きる。


「あぁ、今度会った時、メディア君にサインを貰おうと思って、古い号を持ってきた」


「・・・・・・結鶴君、マジで変わり者だよね? 私のファンとか相当終わっているよ?」


「悪かったな、俺は特撮で勇気をもらった人間だ」


「私は悪役なんだけどなぁ・・・・・・」


 そう言って、鈴がメディア君のメーシー様の写真にサインを入れる。


 綺麗な筆記体だった。


「無くさないでね?」


「恩に着るよ」


「うん・・・・・・」


 会話が続かない。


 自分もメーシー様と遊んでいる暇が無いぐらいタスクが立て込んでいるのが事実だが、とにかく、怪しいサークルの調査、場合によっては潜入を行わないといけない。


 早く、行かないと。


「結鶴君、ちなみに休みは何しているの?」


 唐突に鈴がそう聞いてきた。


「・・・・・・バイトかな?」


「遊ばないの?」


「暇が無い」


「・・・・・・学生生活エンジョイしなよ。悲惨な学生生活じゃん」


「ベイカーさんは何をしているの?」


「同い年だから、呼び捨てで良いよ。ただし、名前はダメだよ?」


「何で? そっちはいつの間にか、俺の名前呼んでいるだろう?」


「そういうのは私に決定権があるから。苗字は呼び捨てで構わない。ただし、名前はダメ」


 どんな理屈だよ・・・・・・


「じゃあ、ベイカーは悲惨な学生生活を送っていないのか? 友達いるようには思えないけど?」


「・・・・・・ずかずかと気にしている事言うなよ? 失礼だよ?」


 そういうベイカーは苦笑いを浮かべていた。


「結鶴君だって、友達いないじゃん?」


「まぁ、そうだけど・・・・・・」


「言っとくけど、私、学外には友達多いからね? 学内では浮いたお金持ちが多いからさ?」


「あぁ、エレベーター組だろう? 大学って金があれば、バカでも行ける事の象徴だよな?」


「本当よ」


 そう言って、ベイカーが「何か、食べる? 奢らないけど?」と言ってきた。


「奢らせるつもりも無い、令和の時代においては男女平等、よって、割り勘が健全だと俺は思っている」


 ベイカーは笑い出す。


「良いねぇ、そういう考えが青川のエレベーター組には無い視点」


「着飾って、マウントを取る奴が嫌いでね?」


「結鶴君とは仲良く出来そうだよ。えぇと・・・・・・」


 ベイカーが財布を眺める。


「金が無いのか?」


「・・・・・・五〇〇円だけ貸してくれないかな? 今日はたまたま、持ち合わせが無いけど、どうしても親子丼が食べたいんだよ」


「利子付きだぞ?」


「あざっす!」


 そう言って、ベイカーに五〇〇円を渡した。


 結鶴はとりあえず、学食はカツカレーを頼むことにした。


 理由はカレーが好きだから。


 続く。

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