おれとおまえ
天気
おれとおまえ
「お前のこと大っ嫌いだけど」
雨の中、あいつは俺の目を見て言った。
きっと、見てた。
「蔑まれるような人間じゃない」
空気が冷たい。
俺はどんな感情でいればいい?
答えを求めようも、あいつは答えてくれるような人間じゃない。
蜘蛛の糸、なんて言葉があったか。
確かに存在する。登るのは自分の力だ。
「お前の周りのやつが、全員お前のこと嫌いだっただけ」
どうすればいい?
有無も言わせないような、感覚。
どれを感覚と指すのかはわからない。
この駅には二人しかいなくて、雨の音は無数に飛んでくる。
「そう、か」
お前が楽しそうなら、それでいい。
そう思ってた俺はまだ青い。
「そうなのか」
『いい』を俺に見つけたあの子は、
蜘蛛の糸を登りに行った。
力がない俺には、地上が見えない。
垂らしてくれた糸を、登れなくてごめんな。
「お前とは金輪際会いたくないけど」
俺は、言葉を発するあいつの目を見た。
「気をつけて帰れよ」
おれとおまえ 天気 @Laikinto6913
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