第5話 過去と未来

天界についた。よく聞くおとぎ話のように雲の上で優雅に過ごしている天使などいない。

大きな建物で、死んだものの誘導、転生の手続き、神の手伝い、現実世界との関わりなど。

それぞれの役職についた天使が働いている。

その一番上にいてなおかつ権力の大きい女神様。大きい階段を登り、エレベーター(ここでは光の輪)にのり最上階に向かう。ここまでくると天使の羽で登るのはかなり労力がいるのだ。大きな装飾に囲まれた神童の扉を叩く。

「あ、アヴェリーです。女神様に呼ばれてきました。」

少しすると女神様の使用人、大天使が出てきた。

「アヴェリー。女神様がお待ちです。どうぞ。」

「失礼します。」


大きな羽にのり移動する。道中では代々の天使の羽、輪が飾られていた。

降りて更に扉を叩く。扉というより門だ。

「アヴェリーです。」

「アヴェリー。入りなさい。」

「はい。失礼します。」


とても広い雲とキラキラした星を装飾した空間の真ん中に大きな椅子に女神様が座っていた。

「何用でしょうか。」

「大変なことを起こしてしまいたました。」

どういうことだろう。

「と、言いますと?」

「貴方と契約した真傘さとみという者。

実は...悪魔とも契約しておりました。」

「え......ええっ!?で、でも契約する前にわかりますよね?一人の人間に付いている悪魔、霊、天使、それぞれに必ずマークやロゴが付いてるじゃないですか。それにもし先に悪魔と契約していたら、契約はできないんじゃないんですか!?そ、それに私もしかしたら悪魔の契約に呑まれていた可能性だってあるんですよね。でもなんで、私と契約した時は何もなかったし、おか...!」

「少し落ち着きなさいアヴェリー。」

「...すみません。」

「何故契約ができたか、契約の証がなかったか、それは...。」

「それは...?」

「真傘さとみ自身に2つの完全に分離した人格が存在しているんです。つまり1つの体に2人の人間がいるんです。もしかしたらそれ以上...。だから、完全にアヴェリーと契約した時はそれを1人の人間として認識されていたんです。それが何故かは解明されていません。」

「......へ?あっ。」

気づかないうちに口が開いていた。

何言っているかほとんど理解できなかった。

「1つの体に2人以上の人間?」

「ええ。真傘さとみという体は1つですが、その体の中に複数の全く別の環境に置かれていたような人格、人が出来上がってしまったんです。別の人間が体にいるんです。」

「そ、そんな!?それってどうしたらいいんです!?」

「天使界でも悪魔界でもこれは初めての事。対処を考えています。」

「でも記憶はあるんですか?通常の人間とは別の人間が動いている時。」

「いいえ。」

「じゃあっ!」

「しかし、なんらかの衝動で自分が多重人格者だとわかってしまった時。」

「どちらの能力も使えてしまう...?それって...。」

「ええ。」

そう言って息を吸い力強く

「神になってしまう恐れがあります。」


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