第2話一家離散(ロスト・ザ・ファミリア) その一

ロスト・ザ・ファミリア その一


ー朝ー スズメの囀りが聞こえる。

明るい日差しがカーテン越しに私の目を覆う私の視界は暗がりながらも

少し明るかった景色から完全に明るい景色に変わっていた。

先週から学校が始まり…彼女の学年は三年生となった。

月は四月の上旬…時計を見ると時刻は六時十三分 目を擦りながらあくびをする。

左衛子は布団から起き上がると直様、寝間着のパジャマを脱ぎ髪の毛を櫛で解かし

ゴムで髪を結ぶそして制服やスカートを履き替え布団を畳み終える。

そして後は昨夜から準備していた鞄


(中にはカモフラ用の勉強道具一式と本とバイト先に行く用の服が奥底に入っている。)


抱き抱え茶髪のポニーテールが靡かせながらスマホを軽く一瞥して部屋を後にする。

部屋を出ると消え掛かった電球が付いたり消えたりを繰り返す中まだ朝日が登っておらず

薄暗い廊下から視線を感じる。


【ここ最近は…別に見えなかったのに…】


『私は幽霊…?が見える!』

(と言っても見えるだけで幽霊とはまともに会話どころか声も聞こえるような気もしなくもない後は例外を除いて触れないうちの家系は元々陰陽師の家系であったらしい。

亡くなった父がよく言っていた。だがあたし自身はそれを全く信用していない。

見えるのも疲れてるからだと解釈してる。)

と独り言を言いながら自身の部屋

隣の妹の部屋とその隣に母の部屋の隣に叔母の部屋を通り下の階へと足を進めて行く。


(後別に。これは疲れてると憑れてるを掛けたダブルミーニングではない一瞬私の頭にそう過ったが違う別に誰にこれを嘘とか言われてもどうでも良かったと言うか

                    信じてもらえないのは前提だと考えているから)


と一人で脳内でぶつぶつ独り言をかましながら歩くそうして家を出ようと玄関に向かう。

だがその瞬間台所から耳元に掛けて母の声が聞こえる。


【ちょっと!左衛子…時間までまだ早いでしょ!折角焼いたんだからご飯食べて来なさい】


母右衛子は元気よく告げる。


【良いよ…今日は…て言うか多少良くなった

                とは言ってもお母さんまだ病人なのに料理なんかして】


と左衛子は母の言葉に答えてから靴を履き靴紐を結びながら母にそう告げる。


【大丈夫よこれくらい…】


と母は左衛子の言葉に苦笑いを添えながら告げる。すると上から美和子が降りて来た。

美和子とは学校が小中高の一貫校な為一緒だ。

左衛子は最近学校に来ていない日が増えている事を告げられるやもと身構えていたが…

美和子は意に介さずに洗面所に向かって行った。

それに対して安堵の表情を浮かべながらも左衛子は腕時計を見て直様大慌てで駆け出した。その様子に母右衛子は娘が父の件を引きずってない様子に安堵と共に

何故か寂しげな表情を浮かべている。

左衛子は家から出て直様着替えられる場所を探した。それも当然だ。

彼女は今から行くのは学校ではなくバイト先なのだから…

着替えの為に一旦近くの公園に入ろうと彼女は急いで駆け出すすると…

偶々公園のトイレから出て来た人間とぶつかってしまう。


【痛い〜あっ大丈夫ですか?すいませんぶつかっちゃって…

                    前見てなくてお怪我はありませんか】


左衛子とぶつかって尻餅をついている若い男性に対して心配になり直様駆け寄って

大丈夫かどうかを確かめに行く。

これで怪我をしていたら家が火の車から火のスポーツカーに進化する恐れがあるからだ。

左衛子はすぐに男性に駆け寄って起こす為に手を差し出した。


【あっいえいえ大丈夫ですよ、これくらいそちらこそ

                   お怪我はって君もしかして左衛子ちゃん】


私は突然の事に驚きを隠さずにはいられなかった。先程ぶつかった男性が

私の名を呼んだのだから私は彼の顔をマジマジと見つめて記憶の隅々まで探して出す。


【え…なんであたしの名前をってあ…あー!!もしかして栄にーちゃん!!?】


と私はつい声を上げて驚いてしまう。

そこにいた紫縁のメガネを掛けていて小綺麗な濃紺色のスーツを着ている青年…

彼は左衛子の母の姉の息子で要するに母方の従兄弟である汐田栄作であった。

彼は尻餅をついていた体を起こすと自分の体にまとわりついた砂を手の甲で払い除け…

左衛子に穏やかでひょうきんに話し掛ける。


【いや〜まさかこんな所で左衛子ちゃんと会うとはね…

      お母さん大丈夫かい?母から聞いたよ最近体調を崩して…

         更に持病も悪化したって聞いたけど…お父さんの件と言い大変だね。】


彼は悲しげな表情でそう告げる。

左衛子はその表情を見て少し申し訳なく感じていた。

すると私の態度から左衛子の思った事を察したのか彼は左衛子のほっぺを軽くつねる。


【痛い…痛って何するのさ…いきなり…!!!】


いきなりの事でついマジになってキレる左衛子


【ごめん…ごめんでも良かったよ…それくらい怒れるなら

           てっきり左衛子ちゃん思い詰めてるのかと思っちゃってさ】


その様子を見て栄作は謝りながらも少し安堵の表情が見える。


【もーだからっていきなりつねる事ないでしょ!!】

【でも栄にーちゃんと会えて幸せだよ私おどりでも踊りたい気分🎵】


と言うと左衛子の背後から大勢の人が現れて左衛子の代わりに喜びの舞を踊っている。

その後すぐに何処かへと去ってしまった。


【ねぇ今の大勢の人は何?】


【さぁ…守護霊とかじゃない】


【明らかに生身だったよ…】


とつねられた事を怒りながらも左衛子は久しぶりに従兄弟と会えて話は弾む

良く一緒に遊んだ従兄弟との談笑を束の間の安息の様に感じているすると

汐田の持っていた携帯から着信が来た。

どうやら仕事先かららしい

それを聞いて左衛子は彼が銀行員をしていると言っていた事を思い出す。

栄作は左衛子に軽くお辞儀をして別れた後で電話先の人と話している。

ふと左衛子は自身の腕時計に目をやると時刻は七時十五分早く行かなくてはと

トイレに入り持って来ていた服に着替えて外に出る。

ふと汐田に目をやると彼はまだ誰かと電話している。だ

が口調は随分と砕けており後輩か家族とでも電話しているのだろう

程度に考えて左衛子は、バイト先に向かって走り出す。


コンビニに行く途中ふと目を側道にやるとそこには警察が来ている。

キープアウトの虎柄のテープが張り巡らされ人がごった返している。

それはまるで良くタイムスリップして来てる現代人の姿に見入っている

過去の人間の様に物珍しげに食い入る様に見ている。

中にはスマホを掲げている人もいる。

これを動画として投稿サイト(You◯ubeやニコ◯コ等)に上げるのだろうと

考えると不謹慎で寒気すらする。そして左衛子はひとつ思う。


(人が死ぬ事がそんなに珍しい物なのだろうか)


左衛子はふとその喧騒を尻目に考えてしまう…

昔からそうだ左衛子の周りではよく人が死ぬ…知らぬ間に自身が疫病神になった様に…

だがそう言うのは良くある事だと考えて生きて来た。

だから人の死に対して極端に涙を流せなくなっていた。この街…日本と言う国は

ここ最近突如として犯罪発生率が跳ね上がっているらしいが…

今朝スマホを確認したらトップニュースで死亡記事が上がっている。

ポッケからスマホを取り出して側面のボタンを押し画面をスワイプしてさらに

アプリのGo◯gleを開いて記事を見る。俳優の殺人事件の記事だ

ここ最近、こう言うのをよく見る様になった。

最近は血の気が多い人が多いのか何か問題による煽りなのかと溜息をつく


【へぇ〜あの俳優殺されたんだ…今警察が調査をしているか…あの俳優さんの演技

 結構好きだったのに…推理物原作のドラマにも出てたから印象にも残ってたんだけどなぁ

 後これ探偵さん写ってるあたし捜査で自我出す探偵さんあんまり好きじゃないんだよね】


寂しげに呟きながらも他の事に目をやり現実から逃避したいと言う考えで満ちていた。

あとこの国では探偵が今は警察と双璧をなすほど重宝されている。

世間的には警察より頼り甲斐がないと思われがちだが古今東西東西南北にそれぞれ四人の

名探偵の祖と言われる探偵がいたのだと言う。

それでその子孫達がそれぞれで名探偵として体制して名家になり

その名家出身の探偵は警察の警視なんかともまともにやり合える程の推理力を有している

らしいしと言うのだ。それで探偵社会が色々発展していっているとか

なんとかなんとかと左衛子は小耳に挟んだ。(ジーーーーー)と鞄のジッパーが開く音が

側道の喧騒に紛れながらも響き鞄から推理小説を取り出す。

左衛子がよく読む孤高の探偵が主役の人気沸騰中ノベライズの推理小説である。


【やっぱり探偵は小説の中に限るよね…現実はそれ程パッとしなさそうだしっ…】


   すると小説の口コミをスマホで調べる為に開くとある男性の待受写真が目に映る。


 【でもこの…東城彰彦って言う探偵だけは好きだわ…一年前から…好きなのよね…

       あの事件以来私は……やっぱり好きな物は私の気持ちを浄化してくれる。】



左衛子は楽しそうに小説を一読しているがその実悩んでいた。

一週間前に父が亡くなりすぐに母も倒れ親戚にも迷惑を掛けている。

この現状を忘れかかっていた事態の深刻さを息抜きのですら思い出してしまう。

母の体調は良くも悪くもないギリギリの所で留まっている物の問題は叔父と叔母である。

二人はそれぞれ叔母の玲子は最近…叔父の借金の取り立てで怯え精神的に病み情緒が不安定でさらには「龍神教」と言う胡散臭い宗教に入信したと言うのだ。さらに叔父は叔父で

さっき述べた借金で首が回らず家にも滅多に帰らなくなった。

さらに叔父が借金した友人である鮫島と言う男が良く家の前で待っておりさらには

借金取りの実好田と言う男がよく訪問して来ては怒鳴っている。

これは私達が来てからこうなっているのかは知らないがどうした物かと

好きな人の待受と推理小説を眺めながら悩んでいるとふと

時計に目をやると時刻は七時四十五分だ。


【げっ!遅刻だ遅刻〜〜〜】


と左衛子は大慌てで駆け出してコンビニに間に合う。危うく遅刻する所だった。

それからは左衛子は午前中はコンビニバイトでてんてこ舞いだった。


【いらっしゃいませ〜 こちら温めますか〜 全部で3056円になります〜】


今日も今日とていつもと変わらずレジ打ちや品出しの仕事に精を出す。


(変わらない日常ってよく聞くけどこう言うのを言うんだろうなぁ)


と想像しながらまたレジ打ちをして行く。


【学校のみんなは今、何してるんだろう…勉強してるのかなぁ…

                       もう始まってるのかなぁ…】


また一人また一人とお客が店に入ってくる。そうして7時間後時刻は十五時丁度になった。今日の仕事はこれで終わりだ。左衛子は持って来ていた鞄を手に取りお店の人たちに

お辞儀と【お疲れ様でした】と一言述べてから店を後にする。


【はぁ…時給1320円で7時間勤務だから9.240円か…一カ月の内

        仮に週五でだから月末は184,800円か…もう一個バイト入れようかなぁ】


とか細い声で言いながらトボトボと歩きふと服のポッケからスマホを軽くチェックした。

今度は昨日起きた渋谷にある瑞◯銀行での強盗事件の記事だ。


(夜の延長営業中に銀行強盗が押し入った。犯人は二人組で変声期で声を変えていた為

性別は不明…銀行に押し入り現金1億3000万円を脅し取り乗っていた黒一色のジープで

逃走した。現在は警察が各所に聞き込みをするなどして捜査を進めるが依然として

事件の捜査は難航している様だ。

さらに先週起きた別の銀行の三人組の強盗が押し入る事件との関係

数年前に起きた偽の銀行強盗事件の関係を視野に入れて捜査をしており…か…

             この街どんだけ治安悪いのよ…朝のニュースも然りさ…)


と独り言を口走っていると

そこでバッタリと義妹の美和子と遭遇したどうやら帰宅途中の様だ…

左衛子は美和子に気づかれない様に忍足で遠回りしようと方向転換すると…


【何!!気まずそうにUターンしようとしてるのよ!】


と真後ろに振り向くと前からする筈のない声が聞こえる。

美和子だ…彼女は自分が振り向く数秒の隙に左衛子に気取られずに私

の間合いまで踏み入り更には余裕の表情をしているではないか…?


(コイツは忍者か何かなのか…?)


まさかの速さに思わず心の中でそう呟く。


【なっ何をしに来たのよ!?】


とまさかの事態に思わず左衛子の語気を強よめるがそれすらも見越していたかの様に

美和子は至って冷静で表情を変えずいつもの仏頂面を貫いている。


【別に…お義姉様の気配がしたから振り向いたら

         Uターンしようとしてらっしたから軽く共に御帰宅のお誘いでもと】


彼女の言葉に嘘の雰囲気は無かった。

だがとても信じられないこうして二人で押し問答を繰り返しながらも二人で帰路に着く。

美和子はノールックで家に入って行こうとする。

左衛子はふと家のほぼ目の前に止まっている車が目に着いた。

その車は小綺麗なベンツで明らかお高い高級車だと分かる。


【あっやあ!左衛子ちゃんじゃない!ちょっと良いかな?お義父さんかいるかい?】


その男はまるでナンパでもするか如く左衛子に叔父の居所を事を聞いてきた。


【いやいないんじゃないですかねぇ…あの鮫島さん…

              あと叔父さんは父の弟さんであって私のお義父さんでは…】


(この人は鮫島秀俊 叔父である継義さんの友人で父の経営する病院の勤務医をしている…

継義さんに金を貸していてそれを返済してもらう為によく家の前に出待ちしているんです。)


(どう切り抜けようか…)

左衛子が迷っていると美和子が声をかけて来た。


【早くしてよお義姉ちゃん…早くしないと

             学校サボってバイト三昧な事お義母さんにバラす…)


【待って…痛っt】(クソ〜)


朝は気づいていないと思っていたがどうやら勘づいた上で黙認されていた様だ。

左衛子は驚きと妹に弱みを握られていると言う状況に内心の歯痒さで

顔の表情筋を釣ってしまう。

左衛子は妹に先に母の様子を見て来てと伝えて

先に新聞を撮ろうと郵便受けをみる。この家は左衛子以外は新聞は見ない人ばかりだ。

今日の朝届く新聞を午後に読むのがある種、左衛子の日課とかしていたのだった。


【新聞は…っとあっ!?あったあった!!って何これ…】


左衛子が新聞に手をやると

茶色の郵便受けの中に新聞以外にも何やら濃い色の封筒の様な物が入っていた。


【何だろ…?これ…】


とそこに鮫島が声を掛けて来た。


【左衛子ちゃん…郵便も大事だけど先にお母さんに会いに行った方が良いんじゃないの?】


とほぼ不審者以外の何者でもない人に言われた。


【分かってますよ…貴方にそんな事言われなくても…それにでもほら

                            …この封筒だけ気になって】


【ほほう…どれどれ〜?】


すると家の中から美和子の絶叫がこだまする。


【キャああああああああああああああああ!!!!】


二人はそれを聞いて慌てて家に入るするとそこにいた叔父の継義と合流する


【ゲッ鮫島なんでお前が家の中に金は今はねぇぞ帰れよ!】


【ちげーよ…今美和子ちゃんの悲鳴が聞こえて来てさ…】


【何!だが何も聞こえ無かったぞ!)


【そんな訳ありません…とにかく…美和子の所に母の寝室に行ったと思い…】


左衛子に嫌な想像が脳裏を巡る。

母の寝室に行く途中母の寝室の隣の部屋にいた叔母の玲子さんが


【ねぇ今の悲鳴って美和子ちゃんよね…】


【あぁお前の隣の右衛子さんの部屋からな…だが何故…】


【そんな事良いから…早く向かおうぜ】


左衛子は叔母や叔父の姿を凝視しながらも身体中に駆け巡る不安が母の寝室に

近くに連れほぼ確実な物に変わる。母の寝室に着くと同時に勢いよく襖を開けて叫ぶ。


【母さんぁ…大丈っっ!!!!キャアアアアア!!!】


部屋の中は血生臭い匂いで充満し鉄っぽい臭いも感じる。

部屋の襖近くに目を見開き半べそを掻いている美和子の姿…

そして部屋の中央を見ると布団の中央部分に包丁が三分の二程が突き刺さっている。

左衛子が布団に近づくと靴下が血で染まる。

よく見ると畳一面が赤く染まり辺りは一面血の洪水と化していた。

だがまだ誰かまでは判別できない…そんな不謹慎な小さき自身を顔に出さず冷静を装う。


(顔を見ない事には…分からない…)


左衛子は目の前がまるでスローモーションになった気分様だと感じながら

布団に横たわるの顔を覗こうとゆっくりと抜け足で近づくするとそこに横たわるのは……


左衛子と美和子の母…前渡 右衛子で間違いなかった。

右衛子の顔はまるで人形の様に無表情で青白く目から生気を無くして瞳孔が開いていた。

ただ腹から血を垂らす事しかの出来ず…さらに腹部が血が溜まり…

まるで血の雨が上がり切った時の水溜まりとでも言うかの如く血で溢れていた。

腹部に刺さった黒い柄の包丁の刃先は血で濡れたくり血のない部分は天井を反射している…右衛子の首元も派手に掻っ切られており…そこからは滝の様に血が溢れた事を想起させる。

壁に目をやると壁は血で鮮やかに彩られており誰しもが分かる…

もう右衛子は…少女達の母親は帰ってこないのだと…


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