第2話 影山との遭遇
翌日、図書館に向かうと、影山はすでに窓際の席に座っていた。
「おはよう、なずな。」
「おはよう……影山くん」
彼の呼び方が不思議と心地よく、なずなの心臓が少しだけ速くなる。
影山は図書館委員としての仕事を黙々とこなす一方、
なずなに小さなメモを手渡した。
『この古い蔵書の中に、秘密のサインがある。
見つけられるかな?』
なずなはページをめくりながら心の中で小さくつぶやく。
「秘密のサイン……? まるで小説みたい」
彼女は細かく文字を追い、ページの隅にある不自然な印に気づいた。
それは、かすれたインクで描かれた小さな三角形だった。
「見つけた……これ?」
「そう、それだ」影山の声には静かな喜びがあった。
二人は黙々と調べ、謎の手掛かりを集めていく。
なずなの指先に触れる本の感触や、影山の穏やかな声が、
いつの間にか心に温かい気配を残していた。
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