図書館に眠る、きみへの秘密
塩塚 和人
第1話 謎のメモ
桜色の光が窓から差し込む午後、金城なずなはいつものように
新緑町の高校の図書館の静かな一角に座っていた。
本に囲まれた空間は、なずなの居場所だった。
ページをめくるたびに現れる物語の世界に、現実の悩みや不安は遠くなる。
「……ん?」
ページの端に挟まれた小さな紙片が目に入った。
淡い黄色のメモには、手書きでこう書かれていた。
『放課後、図書館の隅の扉の前で待っている。
重要な話がある。』
なずなは眉をひそめた。
「誰が……こんな紙を?」
好奇心が胸をくすぐる。
図書館にはいつも静かに読書する生徒しかいないはずだ。
だが、心の奥底で、わずかなワクワクが広がる。
放課後、なずなは指定された場所へと足を運んだ。
古い本棚の奥にひっそりと佇む扉。鍵はかかっていない。
そのとき、扉の影から誰かが現れた。
背の高い、黒髪の少年――影山透だった。
「君がメモを見つけたんだね」
彼の声は落ち着いていて、どこか遠くを見ているようだった。
なずなは少し後ずさった。
「え、えっと……これは……?」
影山は軽く微笑むと、紙を指差した。
「ちょっとした謎の話を解いてほしいんだ。
図書館に関するね。」
なずなは好奇心と不安が入り混じる中、静かに頷いた。
何か面白いことが始まる予感がした。
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