小学生時代
時は流れて、K君は小学生になりました。
K君はいつの間にやらヤンチャではなくなっていました。何がきっかけだったかは覚えていません。色々な人に迷惑をかけて、それが悪いことだったと気付いたのでしょうか。
とにかく、K君は真面目になりました。ドのつくほどの真面目です。授業は喋らず静かに受け、体育の運動は全力で取り組む。メリハリのある子でした。
人にも厳しいです。授業中に喋っている子がいれば、「静かに!」と注意をし、嫌がらせをしている子には、「いじめはいけないでしょ!」と怒鳴ります。それがじゃれあいだったとしてもお構いなしに、悪いと思ったことは注意していました。
K君はそれが良いことだと思っていました。先生からは「K君は真面目で、勉強もできて偉いね。」と、よく褒められました。三者面談でも褒め言葉の嵐で、K君はそんな自分を誇りに思っていました。
そんなある日、教室で自習をしていたときでした。自習とはいえ、授業時間なのにクラスのガヤガヤが収まりません。K君はこれはいけないと思い、「静かにして!!」と、いつものように注意しました。
すると、近くの席の男の子が言いました。
「いい子ぶってんじゃねぇよ。お前のその声の方がうるさいわ。」
流石に、ここまで口が悪くはなかったと思いますが、こんなニュアンスの言葉でした。
K君はとてもショックを受けました。K君は、実は嫌われていたのです。チクチクうるさい邪魔者だと認定されていました。
K君はそれ以来、何も言わなくなりました。学級委員長に毎年なっていたのですが、立候補しなくなりました。担任の先生に言われて渋々やることは何回かあった気がしますが、自分から名乗り出ることは無くなりました。
K君は委員長や会長を、嫌われ役の貧乏くじだと思うようになりました。
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