優しくあろうとしたK君
青い葵
幼稚園時代
昔々、あるところに、一人の男がいました。K君といいました。K君は幼少期、特に、幼稚園時代はとてもヤンチャでした。近所の友達とつるんで、悪戯に明け暮れていました。
K君は様々な悪戯を仕掛けました。その中で最も印象的なのが、蝉の抜け殻を使った悪戯でした。
K君はある夏の日に、蝉の抜け殻を両手いっぱいに集めました。それを何を思ったのか、お寿司屋さんで手に入れた、ガチャガチャのカプセルに詰め込みました。一つや二つではありません。カプセルがパンパンになるまで、少しの衝撃を与えれば爆発するんじゃないかと思うほどに詰め込みました。
翌日、K君は自宅に幼馴染のT君を呼びました。駒まわしで遊ぼうと誘っていたと思います。しばらく駒回しで遊び、そろそろ飽きてきたという頃、K君はT君に言いました。
「プレゼントがあるんだ。」
T君は喜びました。よほど嬉しかったのでしょう。「早く早く!!」とK君を急かしました。K君は満を持してあるものを渡しました。それは、ガチャガチャのカプセルでした。色はよく覚えていませんが、中身の見えない構造だったのは確かです。T君はワクワクして中身を開けました。
すると、なんとびっくり。カプセルからはおびただしい蝉の抜け殻が飛び出してきました。それはそれは大量で、雨のようにT君に降り注ぎました。T君はあまりにびっくりして、泣き出してしまいました。そして、大きく泣き喚きながら、そのまま家へと帰ってしまいました。K君はその様子があまりにおかしく、大笑いしていました。
これがきっかけで、T君は蝉が大の苦手になってしまいました。今でも彼にはそのことをとやかく言われます。
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