第5話 お宝と地下帝国
私たちは四階に来ていた。四階は岩場で、所々に洞穴があった。洞穴の中を見ると、この階層の資源がすぐにわかった。ここは鉱脈だ。あるところには大量の鉄が、またあるところにはミスリルが、更には金や銀の鉱脈もあった。更に洞窟の中には鱗が宝石でできたホウセキヤモリという魔物が沢山いた。地表には背中に扇状の突起があるギョクノオオギという魔物がいて、彼らは岩石を食べては宝玉を吐き出していた。私はすかさずサンプルを採取した。
四階を更に進むとゴブリンの様な魔物がいた。そのゴブリンはこちらを手招きして、私たちを大きな洞窟へと誘う。洞窟の中には彼らの街があり、地下帝国と化していた。そこにはサブテラニアンという魔物たちが暮らしている。見た目は先ほどのゴブリンの様な者が多いが、サブテラニアン・ナイトというオーガの様な大型の者もいた。サブテラニアンたちは皆知性があり、私に挨拶してくれた。しかしこの幾万もの魔物たちに名前をつけるわけにはいかないので、族長に会うことにした。
ニコが族長を呼びに行き、戻ってくると、現れたのは苦行中のお釈迦様の様な痩せ細った老人だった。
「<楽園>の主よ、お初にお目にかかる。サブテラニアン・ロードと申す。」
「初めまして。私はトモ。あなたはお釈迦様に似ているしシャクソンでどう?」
シャクソンはお釈迦様の尊称の一つだ。
「おお、ゴータマ・シッダールタ様と同じ名前を頂けるとは何とありがたい。」
「シャクソン、お釈迦様を知ってるの?」
「知っているも何も。このダンジョンの創造主の一人と聞き及びました。」
何と、このダンジョンはお釈迦様が関わっていたらしい。ちょっと罰当たりなことをした気もするが、名前を変えることはできなかった。と言うのも[鑑定]してみると、彼の名前は既にシャクソンになっていたのだ。
「サブテラニアンたちは何をして暮らしているの?」
「我々は鉱石や宝玉を加工して、武具や装飾品、工芸品を使っています。我々の成人の証は宝剣を帯刀すること。それからナイトに進化した者は破邪の首飾りを付けます。トモ様も是非。」
シャクソンはそう言って、翡翠色の美しい首飾りと一振りの宝剣をくれた。魔物が何かを作り出すなんて聞いたこともなかった私は鑑定してみる。
[悪魔殺しの瞳] : 精霊の涙という宝石から作られた太陽神の目を象徴する首飾り。瘴気を退け、悪しき者を鎮める。
[光明の剣] : 生命ある者を傷つけることがない宝剣。念じると物事の真偽を示す。悪しき者を裁く力がある。
サブテラニアンたちには固有の文化があり、宗教すらもある様だ。これは今までの魔物の常識を覆す大発見である。階級制度や戦略の巧みさから、ゴブリンやオーク、オーガなどに知性がある可能性は示唆されていたが、言語がないとされていたので魔物の知性というのは未知の領域であった。それが今、目の前で証明されたのだ。
「ありがとう、シャクソン。」
「これであなたもサブテラニアンの一員。困ったことがあればいつでもお声掛けを。」
私はシャクソンと握手を交わし、サブテラニアンたちのと友好関係が築かれた。
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迷宮動物誌 〜私と魔物たちの楽園暮らし〜 ローラーコースター @Roller_Coaster_1027
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