第2章 出逢いから契約
第4話
「LINE交換したいです!」
と、またまた元気にやってきたぞこいつ。
一年生の流羽。なんかめっちゃ私のところに来るんだよね。
ここは一言「媚び売っても何も変わらないよ!?練習した分だけ実力がついて…」って言いたいところだが新入部員の中で私が気にかけてる一人でもある。
「いいよ!でも、校内でスマホ触るのは校則違反だから今しまって!」
本当は本当に無知でバスケに熱中するために私のところに来て話をしてくれるのかもしれない。
「そうなんですか!?すみませんっ!」
真相はわからないが。
「はいこれQRコード」
ありがとうございます!と大きな声で言い、流羽は駆け足で帰って行った。
その日の夜、スマホが震えた。
【流羽:今日の練習、すごく楽しかったです!】
おおおおおおお、LINEが来た……。
まずは自己紹介とよろしくお願いしますくらいは言わんかいと思ったが面倒だったので言うのはやめた。
本題に戻ると、まあ、ありがちなメッセージだ。
【阿玖陽:よかった!これから長い付き合いだね、お互い頑張ろうね】
ありがちなメッセージにはありがちなメッセージで返す。
送信して、スマホを置く。
……のに、すぐ震える。
【流羽:先輩のパス、めっちゃ綺麗でした】
睡魔が私に襲いかかり、さらにありがちなメッセージを送る。
【阿玖陽:ありがとう笑】
笑をつけとけば
【流羽:あんなパス、誰にもできないですよね】
ん?誰にも?
【阿玖陽:いやいや、みんな上手いよ】
【流羽:私はそう思わないです。先輩が一番です】
ちょっと褒めすぎじゃない?
でも、後輩ってこういうもんか……そう思って、既読だけつけて放置。
……なのに、通知が止まらない。
【流羽:明日も楽しみです】
明日はオフですよー?
【流羽:先輩って、何時に寝ますか?】
いや日によるしプライベートな話だないきなり
【流羽:眠れない時、話してくれます?】
えぇ…
と、LINEの画面は見ずに、送信が到着した履歴だけを見て心の中で返事をする。
夜の11時過ぎ。
「え、まだ起きてるの?」って思うけど、返信するのも面倒になってきた。
【阿玖陽:こんな時間まで起きてたら明日の学校に影響しちゃうよ!もう寝るよ、おやすみ】
【流羽:おやすみなさい。夢で会えますように】
……夢で会えますように?
スマホを伏せて、深呼吸した。
「まあ、後輩ってこういうもん……だよね?」
そんなことはないと言う心の雄叫びを抑え、そう思いながら、胸の奥が少しだけざわついた。
深夜の静寂を切り裂いたのは、コンクリートがひび割れる鈍い音だった。
足元から伝わる小刻みな震えが、瞬く間に激しい衝撃へと変わる。
視界の端で、頑丈なはずの壁に深い亀裂が走り、天井からは白い粉塵が容赦なく降り注いだ。
逃げようと一歩踏み出した瞬間、床が崩落し、足元の感覚が完全に消失した。
声にならない悲鳴が喉に張り付く。
絶対的な支えだった建物がその形を失い、私は凄まじい勢いで虚空へと放り出された。
視界が激しく回転し、砕けた瓦礫や家具の破片が、私を追い越して暗闇の底へと落ちていく。
耳元を激しい風の音が通り過ぎ、胃のあたりが浮き上がるような、耐えがたい浮遊感が全身を支配した。
空中を必死でもがいても、掴めるものは何もない。
先ほどまで私がいた部屋の断片が、遠ざかる視界の中で無残に壊れていくのが見えた。
死を覚悟し、恐怖で固く目を閉じた瞬間。
衝撃とともに、私は跳ねるように目を覚ました。
心臓が耳元でうるさいほど鼓動を刻んでいる。
恐る恐る目を開けると、そこにあるのは崩れた壁でも瓦礫でもなく、見慣れた寝室の天井だった。全身がじっとりと汗ばみ、指先がかすかに震えている。
私は自分の肩を抱くようにして、何度も深く呼吸を繰り返した。
窓の外では、まだ薄暗い夜明け前の景色が静かに広がっている。
「……夢、だったんだ」
現実の感触を確かめるように布団を握りしめ、私はようやく一つ、大きな溜息をついた。
「うっわ最悪、布団汗でびしょ濡れ…」
しかも結構しっかりと目が覚めてしまったのでもうこれ以上は寝れない。
「なんでこんな夢見るんだろうーー」
といつもの癖で枕元に置いてあるスマホを覗くとありえない光景が広がっていた。
《LINE履歴》
【流羽:先輩もう寝ましたか?】
【流羽:私先輩のことが気になって全然眠れません】
【流羽:お話ししませんかー?】
【流羽:本当に寝ちゃったんですね】
【流羽:夢で会いましょうね】
【流羽:私たちは結ばれるべきなんです】
【流羽からのメッセージをもっと見る】
「ありえない…」
流石に無礼にも程がある上、深夜テンションなのかは知らないが、つい最近出会った先輩に送るメッセージの内容ではない……はず。
これだけ見たら完全に付き合い始めて1週間経ったか経ってないかなくらいのカップルのイチャイチャにしか見えん。
そして現在時刻3:41。
「変な時間に起きちゃったなぁ」
と思いながらも時間もあることだし気が向いたので久しぶりに髪の毛をセットしてメイクも少ししてみることにした。
「いい感じ!久しぶりすぎてわからんけど」
その日は時間も余裕あることだしおめかしをしてテンションがやけに高くなっていたので朝練をしにいつもより早めに学校へ向かいました。
今でも後悔してます。浮かれた自分が愚かだった——。
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