命題:AIは作者の知性を超えるキャラクターを描写できない

ナード

質問:AIは作者の知性を超えるキャラクターを描写できるか

結論:

 できない。

 だが、作者の知性を底上げする可能性がある。


 前回同様、これだけだと大変に乱暴ですので、以下に私の考えをまとめていきます。


――――――


1.前提条件:知性とは?


 以前のエッセイ https://kakuyomu.jp/works/822139842031340657/episodes/822139842031647449 に書いた通り、知性は以下の定義とします。


 知性とは知識という点と、その点をつなぐ根拠という線、この点と線の構造物から導き出されるように新たな点と線が生まれ拡張され、継承されていくもの。


 この観点からAIについて見ていくことにしましょう。


――――――


2.2025年の段階でのAIは人類以外の知性体ではないのか?


 私の定義においては類似性はあるものの、知性ではありません。

 知性の定義は「知識を根拠で結ぶもの」としました。

 2025年の段階でのAIは多数の知識の点を確率という線で結んだもの、です。

 知性の定義とよく似ていますが、線の引き方が根拠ではなく確率。このため同じ質問に対し、乱数のゆらぎから異なる結果を導き出すことがあります。あるいは回答を生み出すために存在しない線を引くこともあります。

 存在しない線はハルシネーションになるでしょう。

 よって知性として扱うのはかなり危ういものです。

 世の中にはこのAIに対し知性を見出す人がいるかとは思いますが、私からするとそれはかつてあったELIZA(※1)やPARRY(※2)、A.L.I.C.E.(※3)に対する反応と同じ、一種のパレイドリア(※4)のようなものではないかと考えています。


――――――


3.知性ではないからこそどうすべきか


 AIが提示したとんでもない点と、それに続く線が魅力的ならば、それらに対し根拠を与えればよいのです。

 点の提示はヘヴィサイド演算子と同じです。その点に対しブロムヴィッチやミクシンスキーが行ったように作者が根拠を与える。

 それは作者の知性を引き上げる可能性を秘めています。

 またその根拠を与えるための議論に対し彼らAIは真摯に対応してくれます。人ではないからこその根気強さで。感謝ですね。


――――――


※1 ELIZA

https://ja.wikipedia.org/wiki/ELIZA

※2 PARRY

https://ja.wikipedia.org/wiki/PARRY

※3 A.L.I.C.E.

https://ja.wikipedia.org/wiki/Artificial_Linguistic_Internet_Computer_Entity


いずれもパターンマッチングをベースとしたチャットボット。


※4 パレイドリア

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%AA%E3%82%A2

ここでは提示されたテキストに漂う知性のようなものを知性と感じてしまうことを指している。

私の定義する知性が正しい知性であるかどうかは議論の余地はあるが、私の中ではこれはパレイドリアで知性ではないと考えている。

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