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AI不使用という生活の難しさ

 ターミネーター3でスカイネットは60テラFLOPS(Floating-point Operations Per Second 秒間浮動小数点演算速度)で動いている https://x.com/AdrianDittmann/status/1987376795881251057 とされていましたが、僕の背後にはそのスカイネットより大規模な82.6テラFLOPSの計算機があります。
 主にそれでAIを走らせています。

 ……RTX4090っていうんですけどね、それ。

 Google検索が創作にとってややこしいことになりそうなお話 https://kakuyomu.jp/works/822139839767797654 は生活にAIが食い込んでいるのでちょっとしたことでAIの支援を受けてしまうよっていうことでわかりやすいGoogle検索を話題にしたエッセイです。
 Googleは自社の製品のアルゴリズムについて積極的に情報発信していますから何をしたらAIの恩恵を受けるのかが見えていていいのですが、そうじゃない製品も数多くあります。
 例えばかな漢字変換。これは直前のテキストの状態から変換候補を絞り込んでいました。このアルゴリズムに使われていたものの一つに「マルコフ連鎖」というものがあります。
 マルコフ連鎖は今の状態から未来を確率で予測するアルゴリズムで、今の生成AIと(規模はだいぶ違いますが)やっていることは同じ。確率による次の予測、です。
 かな漢字は大きな括りではAI活用といえなくもない。
 さらにこの確率による予測、色んなところで使われています。有名なところでは算術符号(Arthmetic Coding)という圧縮方式があります。
 大雑把には今の状態から次の予測される記号が一致する場合、なにも出力しない。外れている場合は「ハズレ」の記号を出して正しい記号を出す、というもの。
 ハズレ記号を出す分圧縮率が悪くなりそうですが、実はそうでもない。情報はある種秩序があるので並びには規則性があるんです。次はこう来るだろう、という予測が優秀であるならば、ハズレは減り、出力は小さくなる。
 この確率からの予測は大きな枠ではAIの動作そのものなため、算術圧縮も大げさに言うならばAIです。
 そして算術圧縮は動画圧縮に使われています。動画圧縮の場面ごとにビット列の出現確率分布傾向を見ておき、それに合わせた確率分布の算術圧縮器を使用することで高圧縮高画質を実現しています。
 事前に見ている=生成AIの事前学習と概念的には同じです。
 例えばAV1の技術解説ページでは「根本的には、圧縮は予測だ。(At a fundamental level, compression is the art of prediction.)」(https://people.xiph.org/~xiphmont/demo/av1/demo1.shtml)というパワーワードが登場します。
 まさに予測、予測、予測! AIの根本動作そのものです。

 便利なものは形や規模を変え、様々なところに組み込まれ、意識されずに使われている。

 私は割とこれ、真理だと思っています。

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