第7話 鋼の月(捜査篇) — 狂気のスコアボード
渋谷署の取調室。重苦しい空気の中で、ベテラン刑事の佐藤は、押収された一台のスマートフォンを睨みつけていた。画面には、一般のブラウザでは到達できないダークウェブ上の掲示板が表示されている。
そこには、およそ正気を疑うようなタイトルのスレッドが立っていた。
『SHIBUYA CUPLE HUNT — 第13回 渋谷カップル狩り・公式戦』
「……なんだ、これは」
隣に座る若手刑事が、震える声で画面をスクロールする。そこには、リアルタイムで更新される「ランキング表」が存在していた。
鎌の男(鎌使い):300pt(撃破数 3 / 負傷 1)
管理員(ボイラー・焼却):500pt(撃破数 2 / 殲滅ボーナス)
派遣の黒(拳銃):250pt(撃破数 2)
「ゲーム……だと?」
佐藤が呻くように言った。あの日、渋谷で起きた鎌の襲撃も、キャンパスの爆発も、コンビニの射殺も。すべては偶然の連鎖ではなく、**「より多くのカップルを殺した者が優勝する」**という、吐き気のするようなデスゲームの一環だったのだ。
掲示板のコメント欄には、観戦者たちからの熱狂的な書き込みが並んでいた。
『コンビニの射殺、背後からのクリティカルで+50ptだ!』
『サウナの焼死は演出点がデカいな。清掃員、一気に暫定1位か?』
「こいつら、人間をなんだと思ってる……!」
佐藤が机を叩いたその時、スマートフォンの画面が強制的に切り替わり、新たな通知がポップアップした。
【最終ミッション:カウントダウン開始】
ターゲット: 2025年12月24日 20:00 渋谷スクランブル交差点
特別ルール: 現場にいる「全カップル」が対象。
優勝賞金: 参加者の総賭け金(現在 8億4000万円)
「20時……あと15分しかないぞ!」
佐藤は椅子を蹴るようにして立ち上がった。
街はクリスマスイブの浮かれた空気に包まれ、愛を誓い合うカップルたちが、自分たちが「獲物」としてスコアに換算されていることも知らずに交差点へ集まってくる。
モニターの隅で、新たな参加者がエントリーした。
プレイヤー名:『復讐の生存者』
使用武器:『爆発物』
狂気のゲームは、渋谷を血の海に変える最終ステージへと突入しようとしていた。
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