第6話 コンビニの残響

 キャンパスの爆発から数キロ離れた、渋谷の外れにある深夜のコンビニエンスストア。

 店内に流れる無機質なBGMが、かえって街の異常な静寂を際立たせていた。

​ サークル帰りの大学生、拓海とリカは、事件の速報をスマホで眺めながら、震える手で温かい飲み物を手に取った。

「……怖かったね。まさか大学があんなことになるなんて」

「ああ。もう帰ろう。タクシーを呼んだから」

​ 二人がレジで会計を済ませ、自動ドアに向かった、その時だった。

​ 背後で、自動ドアが開く「ピンポーン」という軽い音が響く。

 と同時に、冷たい冬の空気が店内に流れ込んだ。

​ 二人が振り返るよりも早く、乾いた破裂音が二度、店内に響き渡った。

​「え……?」

​ リカが隣を見ると、拓海の胸から鮮やかな赤が噴き出していた。彼は声も出せずに膝から崩れ落ちる。

 続いて、リカの背中にも衝撃が走った。熱い鉄の塊が体を突き抜ける感覚。視界が急速にセピア色に染まっていく。

​ 床に倒れ伏した二人の視界に映ったのは、ボロボロの作業服を着た男の足元だった。

 男の手には、爆発したキャンパスから持ち出された、もう一丁の**「予備の銃」**が握られている。

​「……誰も、逃がさない」

​ 男は、レジで凍り付いている店員には目もくれず、ただ機械的に、倒れた二人の背中に向けてさらに引き金を引いた。

 コンビニの白い床に、こぼれたコーヒーと血が混じり合い、醜い模様を描いていく。

​ 防犯カメラのレンズには、崩れ落ちるカップルと、硝煙の中に消えていく男の冷酷な背中だけが記録されていた。

 ​渋谷の夜は、まだ明けない。


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