第6話 小さな庭の喜びと、花がつなぐふたり

ひろみは最初、植物にあまり興味がなかった。

だが、私が持っていく花をどれも嬉しそうに受け取り、

玄関前に並べては「かわいいね」と何度も眺めていた。


「こんなふうに、植物や花がきれいとか、おもしろいと

思ったことは今まで、あまりなかったなぁ」と呟いた。

 

次第に花を育てることに夢中になり、

ミニトマト、パセリ、ズッキーニまで育てた。


ミニトマトは、ひろみのお気に入りで好きな野菜。

最初の年は、彼が買ってきたトマトだったが

翌年からは、ひろみがすすんで鉢に植えた。


「やっぱり、自分で育てたトマトはおいしいね。これ甘いよ」

と喜んだ。


ある日突然、椎茸の原木を買ってきて、

「見て見て~!」と笑った日も忘れられない。

 

ひろみの無邪気さ、真面目さ、

どこまでも素朴な優しさ。

それが、私の心を掴んで離さなかった。


ひろみのアパートには鉢花が少しづつ増えていった。

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