第12話 ☆きらきら☆

 わたしはステージ上で、アップテンポで明るい歌を唄い。

 周りを、ラビリーズが軽快にくるくると回ったり飛び跳ねている。


 えれなちゃんは、かっこよく激しい歌を唄い、 水精霊は水流に変わり、彼女の周りを渦巻いている。


 会場の盛り上がりとリンクするように、ソングゲージもぐんぐんと上昇していった。



 ――バーチャル空間で実況中のねこにゃんは――。


「お互いに、ソングゲージが50に突入したにゃー! ソングゲージは、『アイドルゲージ』が高いほうが上がりやすくなっているにゃ。うさぎちゃんは『60』。えれなちゃんは『30』。圧倒的にうさぎちゃんが有利にゃ!」


「いいえ。限界ソングバトルで戦っているのがスターモンスターの場合、ソングゲージが上がりやすくなるのよ。それを考えると、状況はほぼ互角。どっちの歌と踊りが優れているか、それで勝負は決するわね」


 ステージ上の2人の歌と踊りが過熱していく。



( とどけ とどけ とどけぇぇっ! みんなの心に、かぐやちゃんの心に、とどけぇ――――――! )



 ソングゲージがお互いに――60――70――80――と上昇していき――。


 観客席の竹月 かぐやはカメラのレンズ越しで、親友の勝利を祈った。


( うさぎ、あなたの想い届いたよ。頑張れ、うさぎ! あなたの光輝く勇姿は、カメラに、心に、ずっと留めておくわ! )


 ……97……98……99……。


 ソングゲージが ほぼ同時に――限界数値『100』に到達した。


《 アイドルカードバトル終了です! 》


 アナウンスが響き、2人のパフォーマンスが終演を迎える。


 ぶつかり合っていた2体のモンスターも、マスコットの姿に戻っている。


《 アイドルカードバトル勝者は――― 》


 ……………………。


 会場中が固唾を飲んで、結果の発表を待ち望んだ。


 そして――



《 月美 うさぎ選手! 》



 わ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ っ ! 



 大歓声が会場を包み込んだ。


 きらめく笑顔で月美 うさぎは手を振った。


「みんな、応援ありがとう! みんなの心をきらきら光輝かせることができたかな? 最後まで見届けてくれて本当にありがとう!」


 水森 えれなは満足しきった表情で観客とともに拍手をしていた。


「えれなちゃん、今日は対戦ありがとうございました。また一緒にアイドルカードバトルしようね」


「ええ、次は負けないわよ、うさぎちゃん」


 2人は笑顔で握手をかわし、一緒に手を振った。


 竹月 かぐやは感動で濡れた瞳で、カメラ越しで最愛の友人の姿を、心という永遠のフィルムに収めていた。


 鳴り止まない拍手のなか、月美 うさぎは手を振り続け――。



 ――わたしはこの日のことを、永遠に忘れない。だって、望んでいた きらきら光輝く世界に、一歩目を踏み入れた記念すべき日なんだから――。

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アイドルカードゲーム 佐藤ゆう @coco7

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