第11話 みんなの心を輝かせる
わたしの目の前で、限界レベルまで上がった巨大モンスターが激しくぶつかり合っている。
会場は湧き立ち、そしてわたしの心も高ぶっていった。
――かぐやちゃん、見ててねっ! 『限界ソングバトル』で、必ずみんなの心を光輝いてみせるから!
◆◆◆◆
――決勝戦 前日――。
わたしはあかねちゃんの家で泊まり込みで最終調整をして、明日の大会のために、ベッドで寝ているかぐやちゃんを起こさないように静かに隣に寝転んだ。
「……明日、とうとう決勝戦が始まるんだ……」
暗い天井を見上げて小さくつぶやくと、
「うさぎ、眠れないの?」
隣で寝ていたかぐやちゃんが、わたしの顔をじーっと見つめていた。
「起こしちゃった?」
「ううん、あなたがくるのを待ってた。うさぎ、決勝の相手 水森 えれなは、この大会でも優勝候補の相手よ。そして【限界ソングバトル】を得意としているわ」
「限界ソングバトル……。レベルが同じモンスターがバトルした場合、普通はお互い倒れちゃうけど。モンスターの限界レベル15まで上がった状態でバトルすると、カードアイドル同士で歌って踊って、お客さんを盛り上げたほうがバトルを制するんだよね?」
「そう。ソングゲージを先に100にしたほうが勝ち。だからできるだけ、水森えれなの得意な限界ソングバトルには持ち込まないほうがいい……」
「限界ソングバトルか……やってみたいなぁ……」
「話し聞いてる? 相手は限界ソングバトルが得意なのよ」
「でも、お客さんは盛り上がってくれるじゃないかな? いっぱい、心をきらきら光輝かせてくれるんじゃないかな?」
「………くすっ。……そうね。いまのあなたなら絶対に……」
いつもどうりわたし達は、お互い向き合ってぐっすりと眠りについた。
◆◆◆◆
限界レベルまで上がったモンスター達が ぶつかり合うなか、観客席に笑顔を贈った。
「さあ、みんなぁ、限界ソングバトルの始まりだよぉ♪ きらきら光輝く戦いを見届けてねぇ♪」
わたしとえれなちゃんは、歌って踊る【限界ソングバトル】を開始した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます