第7話 中学生アイドル達の戦い
◆◆◆
中学生だけが出場できる、アイドルカードフェスティバル東京大会地区予選。
23区ある内のひとつ、『新宿区』からわたしは予選に出場した。
この地区予選で優勝すると、新宿区の代表者に選ばれ、他の地区の代表者が集まる東京大会本戦に出場することができるのだ。
かぐやちゃんとあかねちゃんから一ヶ月間 熱烈猛烈に、泊まり込みで特訓を受けて、わたしの歌とダンスとカードゲームの腕は飛躍的に上がっていた。
地区大会のトーナメントを苦戦しながらも勝ち抜いていき、とうとう今から決勝戦が始まる。
会場のステージ上で、対戦相手のツインテールの女の子『 水森 えれな 』ちゃんに握手を求める。
「よろしくお願いしますね、えれなちゃん。いいアイドルカードバトルにしましょうね」
彼女は、水をモチーフにしたアイドル衣装を身に着けていた。
握手をぎゅとかわして勝ち気に笑った。
「ええ、よろしくね、うさぎちゃん。勝たせてもらうわよ」
ステージ上で、戦いの交流を終えて、わたしたちは10メートルほど距離を置いて向き合った。
《 アイドルカードバトル『先行』は、月美 うさぎ 選手 》
アナウンスが流れ、浅く呼吸をして――。
「わたしのターンです! 初期手札をドローします!」
片手を振り上げると、上空からホログラム映像で生み出された『可愛い子兎』たちが『5体』降ってきて、わたしの近くに着地していく。
衣装を身に着けた可愛い子兎たちは、二足歩行でわたしの周りをくるくると踊り始めた。
アイドルカードバトルにおいて、この『マスコット』たちが手札の分身であり、【マジックイヤホン】により、どの子兎たちが どのカードなのか、頭の中にデータとして送られてくるのだ。
手をかかげて宣言する。
「チェンジ
くるくる踊る1体の子兎がジャンプして、身体を光の粒子に変えて、わたしの全身に纏っていく。
光の粒子により、わたしのホログラムで作られた兎の衣装は、さらに豪華な兎の衣装に変化した。
この衣装もかぐやちゃんがデザインしてくれたモノだ。
「 わたしのターンは終了です 」
――月美 うさぎと水森 えれなのアイドルカードバトルはネットで放送され、世界中の人々に視聴されていた。
バーチャルアイドル【ねこにゃん】と、バーチャルアイドルとしても活躍中のナンバー1カードアイドル【愛原 さくら】は、『バーチャル空間』で大会映像を観戦しながらコラボ実況をしていた。
愛原 さくらの地元での大会ということで、特別に実況に参加していたのだ。
バーチャルアイドル【ねこにゃん】は興奮した様子で。
「いきなり、チェンジ
隣で一緒に実況をしているコラボ相手に聞くと、ナンバー1カードアイドルは真面目な顔で。
「そうね……。最初のターンは攻撃できないから、チェンジ
そして輝ける瞳でステージ上の2人を見つめた。
「……私のカンが言ってるわ。このアイドルカードバトル、最高の輝きを見せてくれるって……」
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