第6話 アイドルカードフェスティバル

 ◆◆◆◆


 アイドルカードフェスティバル東京大会会場――『控 室』


 鉄製のパイプ椅子に座りわたしは、緊張した面持ちでかるく息を吐いた。


「ふぅ―……。やっと ここまできた……」


「うさぎ……落ちついて……」 


 かぐやちゃんが背中を優しく撫でてくれた。


「うん、わかってるよ……かぐやちゃん……」


 設置された時計を確認して、気合を入れて立ち上がった。

 

「よし……行こう……!」


「うさぎ、『マジックイヤホン』を付け忘れてるよ?」


「あっ、そうだった……ごめん……」

 

 受け取った『最新鋭のイヤホン』を耳に取り付ける。


【マジックイヤホン】

 アイドルカードバトルのために作られた、多彩の機能を持つ高性能イヤホン。

 マイク機能や、カードデータを思考に伝達したり、頭の中の考えを、直接 ホログラム映像のモンスターに伝えることができるのだ。

 

 わずかに緊張を残すわたしを癒やすように微笑んだ。


「応援してるよ、うさぎ。あなたの光輝く姿を撮らせてね」


 カメラを構えた親友に、ガッツポーズを決める。


「うん……見ててね、かぐやちゃん。わたしステージで光輝いてみせるから!」

 

 控室の扉を開けて、3万人のお客さんが見守る会場ステージに飛び出した。


 会場ステージに出た瞬間、軽装だった服装が、ホログラム映像によるアイドル衣装に変化した。

 兎をモチーフにした、かぐやちゃんがデザインしてくれた可愛い衣装だ。


 目の前にいる、3万人のお客さんに きらめく笑顔で手を振った。


「みんなぁ、応援よろしくね! きらきら輝くアイドルカードバトルで、みんなの心も一緒に輝かせちゃうぞぉ♪」


 会場ステージに、ホログラムのカウントダウンが表示される。



    『 3 』



    『 2 』

  


    『 1 』



「 ア イ ド ル カ ー ド バ ト ル、始 め る よ ぉ ♪ 」


 中学生2年生。14才。

 月美 うさぎの、きらきら光輝く戦いの演劇が、今始まった。

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