第3話 春の計画に、もう一人

あれから数日が過ぎた、昼下がり。


「ねえ、詩」


「なに?」


「……紗季さんに、会ってみたい」


一瞬驚いたが、すぐに納得した。


「私に、そっくりなんでしょ?」


「うん」


雅は楽しそうに笑う。


「どんな人か気になる。絶対、気が合う気がする」



ちょうどその頃——結菜は、春休みの過ごし方をあれこれ思い巡らせていた。


「ねえ、京都行かない?」


結菜がそう言い出したのは、講義帰りにふらりと立ち寄ったカフェだった。


「春だし。二泊三日くらいで」


「いいですね」


「悠斗と紗季も誘お」


「もちろんです」


(……今しかない、気がする)


少し間を置いてから、詩はそっと切り出した。


「結菜さん。もう一人、誘ってもいいですか」


「誰?」


「従姉妹です。雅ちゃんって言うんです」


結菜の目が、きらりと光る。


「……例の?」


「はい」


「面白そう」


迷いのない即答だった。


「サプライズにしよ。悠斗と紗季には内緒」


「えっ」


「そのほうが、絶対楽しいでしょ」


結菜は、悪戯っぽく笑った。


不公平解消のキスの一件以来、結菜と詩は、“秘密を共有する仲間”のような関係になっていた。だからこそ——このくらいの遊び心は、きっと許される。


「決まりね」


結菜は、軽く指を鳴らした。

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