第3章 崩壊への祭壇
1. 骨灯平原と白い鎖
「……嫌な音だ」
ピクスは耳を塞ぎながら歩いていた。ノマドに傷つけられた耳はまだ疼いている。だがそれ以上に、この乾いた音が、グラードの神経を逆撫でしないか気が気でなかった。
グラードは無言だった。その瞳は虚ろで、焦点が合っていない。侵蝕段階・第四段階〈断層の静寂〉。彼の周囲の空間は、常にモザイクのように細かくひび割れている。近づくだけで肌が切れそうな、鋭利な静寂。彼はもう、ピクスの方を見ようともしなかった。
その時。骨の風車の影から、白い鎧を纏った騎士たちが現れた。《
「発見したぞ。あれが『静寂の王』……そして、その“餌”だ」
小隊長である《
「災厄者は、守るべき弱者がいなくなれば、やがて自滅する。まずはあの小僧を殺せ。穢れた餌を絶て!」
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