死にたくなったら.....俺に言え

利知コウジ

第1話


死にたい、死にたい、もう無理だよ。

ギブアップ。


疲れた。もう本当に疲れた。

金に振り回された人生に、別れを告げたい。


——そう思い続けてたある日、俺の前に現れたのは、見知らぬ小学生だった。


「みなとみらい駅」

長いエスカレーターを登りきった先。


満面の笑みを浮かべ大袈裟に手を振っていた。


誰だこの子供は?


俺は彼に近づき


「何かな?」


「おじさんさ、死にたいんでしょ?」


――え、何故?


驚きのあまり俺は笑った。

喉の奥がひきつるような、変な笑いだった。


「いや参ったな。小学生に見抜かれるとは思わなかった」


「でしょ」


慰めるでもなく、心配するでもなく、小学生は言った。


「でもさ。笑えるうちは、まだ余裕あるよ」


「あ、それと気をつけて、ボクの姿は他の人には見えないから」


「えっ?」


少し間があって突然小学生が大きく息を吸い目をつむった。


次の瞬間「ビュッ」と強い風が吹いた。


「え」


大観覧車のゴンドラの中にいる。


カップルがいた。


俺は彼氏の隣に座っている。


3者、驚きのあまり観覧車のゴンドラが大きく揺れた。


次の瞬間また風が「ビュッ」と吹く


人気のない階段の踊り場にいた。


小学生は大笑いをしている。


まだ状況が掴めていない。


「瞬間移動だよ」


俺がもう一度聞き直そうとしたとき、小学生は一歩近づき、耳元で囁いた、、、


「だからさ」


「死にたくなったら俺に言え」

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死にたくなったら.....俺に言え 利知コウジ @mkt44

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