第3話 イメージ・オリジナリティー
「おじさんさ…なんか地味なイメージない…たいやきとこの店って」
「地味でいいじゃないか、派手にする意味がないじゃないか…」
「最近ハンバーガー屋さんっていうのがあるらしいんだ…」
「ああ、ニュースでやっていたな、銀座にマクドなんとかとかいうのが開店したんだってな…」
時代はそのころです。
マクドナルドの記念すべき最初の店舗は銀座でした。
「おじさん、せめて人雇ってさ…若いミニスカートのお姉さんに売られたいんだ…俺…」
「お前なに言っているんだ、こんな単価の安いたいやき、利益はほとんどないし、人を雇う余裕なんてないよ、ほらあんこいれるぞ! 」
「え~やだよ、かっこよく売られたいよ…『One TAIYAKI please』とかカウンターから厨房に声がかけられてさ…そして小綺麗な袋に入れられて売られたいよ! もう家出だ! 」
イメージの問題だったりね。
*****
「おじさん、あんこさ、どうして市販のものに変えたの…」
たいやきくんは寂しそうに言いました。
「そりゃあな…手間とかコストとかあるんだよ…」
「俺…おじさんの手作りあんこが好きだった…」
「しょうがないだろ…あんを煮るのだって時間がかかるんだ…大変なんだぞ」
「そうだけどさ…どこに行ってもどこのお店でも同じあんこじゃな…俺…おじさんオリジナルになりたいんだ…」
「ほら、あんこ入れるぞ、おとなしくしろ」
「えーやだやだ、もう家出だ!」
オリジナリティの問題だったり。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます