第23話

最終章「余白」


📻 作楪


夜更けの配信は、

いつもより人が少なかった。

ゲームの音を下げて、

作楪は、少しだけ間を置く。


「今日はさ……

占いっていうより、

独り言みたいな話していい?」


コメントが流れる。


「若い頃の話?」


作楪は、

ふぅっと小さく笑った。


「若い、ってほどでもないけどね。

でも、

ずっと前の話」


画面の向こうで、

誰かがイヤホンを外し、

誰かが、

ぎゅっと耳に押し当てる。


「学生の頃ってさ、

好きって言葉を使うには、

世界が狭すぎるんだよ」


「だから、

描いたり、

黙ったり、

優しくしたりする」


作楪は、

何かを思い出すように、

一拍、置いた。

ぽつりぽつりと言葉を落としていく…

波紋が広がっていく…


「その全部が、

ちゃんと、恋だった」



コメント欄が、

少しだけ静かになる。


「私がどうして、

こういう話を知ってるかって?」


少し照れたように、

息を吐く。


「たぶんね……

同じスケッチブックを、

持ってたから」


それ以上は、

言わなかった。


ゲーム画面に、

また音が戻る。


「今日はここまで。

来てくれて、ありがとう」

配信終了の音。

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