第22話
七星も聴いていた、同じ声(作楪色)
――七星
夜は、まだ少し落ち着かない。
転校してきて、
一日分の出来事を思い返すと、
胸の奥がざわつく。
スマホを触って、
何となく開いたアプリ。
ゲームや雑談が多い配信だ。
前の学校で仲良かったゲーム友達が進めてくれたその配信に、ごく稀にゲームを見に行く。
たまたま今日、何気なしに開いたその配信。
おすすめに出てきた配信を、
深く考えずにタップした。
📻 作楪
「こんばんはー。
今日もゲーム雑談、ゆるくやってくよ~」
低くて、
でも、押しつけがましくない声。
お母さんのような、そんな理由はないけど安心する声だった。
コメント欄が流れている。
——この人、人気なんだ。
イヤホンを耳に入れる。
「今日のちょこっと心に突き刺さるお話はねぇ~、
“にじみ色”」
七星は、
思わず、画面を見た。
「誰かと仲良くなろうとして、
何も間違ってないのに、
ちょっとだけ、心が痛くなる日」
胸が、
小さく鳴った。
「それはね、
君が悪いんじゃない」
作楪は、
ゆっくり続ける。
「ただ、
誰かの大事な色に、
触れてしまっただけかもしれない」
——あ。
今日の教室が、
頭に浮かぶ。
スケッチブック。
二人の空気。
自分が、声をかけなかった理由。
「だから、
優しくするなら、
自分にも、優しくしてあげて」
七星は、
息を吐いた。
知らない人の声なのに、
なぜか、
許された気がした。
コメント欄に、
そっと打つ。
「初見です。
今日の話、好きです」
すぐに、
作楪の声が返ってきた。
「来てくれてありがとう。
大丈夫、そのままで」
スマホの画面が、
少しだけ、滲んだ。
作楪色に染まった瞬間だった。
——私も、
同じ声を聴いてる。
芽衣子も。
雪も。
そのことを、
この時は、
まだ知らなかった。
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