第3話 卵型のロケット
いよいよ僕は搭乗した。
久我に会うのも最後だ。お互いに、もうこれっきり。
「連絡くれよな」
僕の言葉に、久我は「ああ」と小さく頷いた。それで十分。
卵型のカプセルは、思っていたよりも小さかった。人が一人乗れる分、資源も限られるのだから、とのことだった。外側は鉛のような金属色。息をひとつ吐いて、僕は足を踏み入れた。内部は狭い。座席というより、身体を寝かせるためのベッドみたな感じだった。立つことはできない、寝がえりくらいの最低限さで、寝ることを前提に設計されているみたいだった。
確かに向かうまでの期間は、休眠がメインなのだから仕方がない話ではある。
ただし、一年ごとに体調管理のために起こされるのだそうだ。こんな仕様、聞いてなかったって、いいたいけど……今更いえたものじゃない。
カプセルがいよいよ宇宙ステーションから発射される。
異空間へと突入するころには、ワクワクしていた気持ちも、すっかり飽きてしまっていた。
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