第8話 薪割りと牡丹鍋
「コウ。見とってな」
新島がニヤニヤしながら、ごんたろと並んで、庭の切り株の傍に立っている。
一体何が始まるというのか。
囲炉裏部屋は縁側を挟んで庭にも面しているので、戸を開けてそこから見る。
新島は縦に置いた薪を指さし、叫んだ。
「いっけぇ! ごんたろ! 『切り裂く』だ!」
ごんたろは薪に向かって飛び立つと右手を振りかざし、それを素早く下ろした。
パコン、という音を立てて、薪が割れ、左右に転がる。
新島はこちらを振り向き、どうだと言わんばかりにふふんと親指を立てる。
どこぞのモンスタートレーナーにでもなったつもりなのだろう。
「あんたは何もしてないでしょ」
代わりに、ごんたろをうんと褒めてやる。
ごんたろはべっちんべっちんと尻尾を地面に叩きつけて嬉しそうに目を細めた。
「薪って気ぃついたら使ってもうてるし、タカさんのところにも渡したいからなぁ」
ここに来て半月ほどが経った。
囲炉裏の灰の一部はタカさんの薪ストーブから出たものをもらっているし、その他にも日ごろから食材などを頂き、なにかとお世話にもなっている。
自分たちも使うので、実用とお礼を兼ねて何度か新島と薪割りをしたが、これが結構大変なのだ。
ごんたろが無理なくやってくれるのであれば、ありがたい。
「牡丹鍋もうできるから食べようよ。ごんたろもいっぱい食べてね」
「おー! ありがたいなぁ」
「ンあぁぁ!」
牡丹鍋の猪肉は、タカさんが狩った猪である。
この時期の猪はどんぐりをたくさん食べているので、脂がのって美味しいらしい。
猪肉は煮込むほど柔らかくなるというので、しゃぶしゃぶと違って最初のうちから煮込んである。
ごんたろの分も器によそってやると、すごい勢いで食べ始めた。
牡丹鍋を食べるのは初めてだ。
肉が味噌出汁と絡んでとても美味しい。
ごんたろの笑顔というのはわからないが、とても満足しているのはわかる。
最近では、ここの生活にも馴染んできた。
このままごんたろとここで暮らすのも悪くはない。
そう考えるようになった矢先。
タカさんから、ミステリーサークルが出現したという知らせが入った。
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